新・帝国劇場の概要に関する記者発表会が16日、東京・丸の内の帝国劇場ロビーで行われた。
1966年に開場した2代目帝国劇場は2月をもって休館が決定。2030年度に会場予定の新・国立劇場の設計者に決定した、建築家の小堀哲夫氏(53)が会見に登壇し「帝国劇場は時代を経ても色あせない感動を持っている。我が国の文化、演劇において最も重要な建築である帝国劇場の設計に携われたことを大変光栄に思っております」と喜びを語った。
新・帝国劇場のコンセプトは「The veil」。小堀氏は「“veil”が持つ言葉の美しさ、華やかさ、そして神秘性。これらがこの建築に幾重にもまとっている。そういうようなイメージになります」と説明。その上で「自然環境や周りの街との接続を考えた」とし、「皇居にくる西日の光、水面の美しさ、そしてイチョウ並木。そういう自然の場所に存在している唯一無二の場所であるということを皆さんが分かって頂けるような建築の考え方が大事なのではないかということを考えた」と設計に込めた思いを語った。
小堀氏が重視するのは「自然光」だ。これまでの帝国劇場は自然光を閉じることで、落ち着いた空気をまとっていたが、小堀氏は「自然光をどう取り入れるかが大きなテーマになっている」と説明。「自然光が入り込んでいくことで、華やかさや美しさを取り入れながら、徐々に高揚感を高めていくような空間構成にしていきたい」と構想を語った。
また、会見には同所を保有する東宝株式会社の池田篤郎常務も出席。設計者に小堀氏を選定した理由について「何作か拝見した中で、小堀さんの設計を見たときに“これが帝国劇場だ”と思った。(帝国劇場の)歴史も研究なさっているし、ロケーションの長所を十分に承知してらっしゃるので、それを生かしてくれるというのがうれしかった」と語った。