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殿堂入りのイチロー氏 “イチ流”の一問一答「ナメた子供は叱る」「ナメた大人も叱る」

スポニチアネックス 2025年1月16日 15時56分

 野球殿堂博物館は16日、今年の殿堂入りを発表。競技者表彰のプレーヤー部門でオリックス、マリナーズなどで日米通算4367安打をマークしたイチロー氏(51=本名・鈴木一朗)が選ばれた。

 イチロー氏は史上初の満票での殿堂入りが期待されたが、有効得票数349票のうち323票を獲得。得票率92・6%での殿堂入りとなった。候補1年目での殿堂入りは18年の松井秀喜氏、金本知憲氏以来、7人目。得票率90%超での殿堂入りは13人目。候補1年目では60年スタルヒンの97・3%、94年王貞治の93・2%に次いで3番目に高い数字となった。

 イチロー氏は競技者表彰委員会の質問にも返答した。一問一答は以下の通り。

 ――日本と米国で当時の常識を覆し、野球史に輝く活躍や記録を残すことができた原動力をご自身ではどうお考えですか。

 「多くの人が常識だと思っていることを疑い、大事な決断は自らしてきました。第三者の意見ではなく、感性に基づき行動してきたことは大きな要因の一つだと思います」

 ――日米でさまざまな記録を打ち立てられました。最も印象に残っている場面をプレーを挙げていただけないでしょうか。

 「2018年5月に選手としてはプレーできなくなり、そこから練習だけの日々を経て2019年に東京ドームで引退を迎えたことは、人生の大きな支えになると思います」

 ――野球界に蔓延しつつある、行き過ぎたデータ偏重に警告を発していらっしゃいます。野球のおもしろさを後世に引き継いでいくため、日本の野球界や野球人は何を大切にし、どう行動すれば良いとお考えでしょうか。

 「長い時間をかけて築いてきたことには理由があります。一時的な利益のために大切なものを失ってほしくない。大阪な変化には良いこともありますが、気がついたときには手遅れということはよくあることなので、その判断は慎重すぎるくらいのスタンスで」

 ――日本の野球に足りないところ、アメリカ野球の方が優れている点があれば、設備などの環境面も含めてお教えください。

 「規制の多い日本では、一定世代以下はキャッチポールすら特殊なスキルになってしまった。アメリカでは今も野球は近くにあり、世代を超えて継承されているように見えます」

 ――男女問わず、高校世代との繋がりを大事にされ、熱心に指導されています。突き動かしているエネルギーの源泉は何でしょうか。また、高校生と接する際に大事にされていることをお教えください。

 「さまざまな場面で、『必要なことすら伝えられない』と嘆く先生や指導者たちの声を聞きます。野球を通じて、社会に出てからのきっかけになってくれればという思い。ナメた子供は叱る」

 ――ご自身の今後について、取り組んでみたいことなどがあればお教えください。

 「ナメた大人も叱る」

 イチロー氏は愛工大名電から91年ドラフト4位でオリックス入団。3年目の94年に登録名を「イチロー」に変えて一気にブレークした。独特な「振り子打法」を武器に、同年に日本記録(当時)のシーズン210安打を放って首位打者、史上最年少のMVPに輝く。95年1月17日に阪神・淡路大震災が発生すると、神戸が本拠地のオリックスは「がんばろうKOBE」を旗印に95、96年にリーグ連覇。96年には日本一となり、イチロー氏は3年連続MVPでチームの快進撃を支えた。

 00年まで7年連続首位打者。01年に日本選手初の野手の大リーガーとしてマリナーズに移籍すると、同年に大リーグ新人最多の242安打を放ち、新人王や首位打者、盗塁王、MVPなどに輝いた。その後、10年までシーズン200安打、打率3割、球宴出場、ゴールドグラブ賞を10年連続で達成。卓越した外野守備も高く評価され、強肩を誇った送球は「レーザービーム」、マ軍での本拠地セーフコ・フィールドの右翼は背番号をもじって「エリア51」と呼ばれた。

 04年には84年間破られなかったジョージ・シスラーの記録を抜き、大リーグ新のシーズン262安打をマーク。2度目の首位打者に輝いた。09年に張本勲の日本記録3085安打を抜き、日米通算で最多記録を更新。16年にはピート・ローズの大リーグ最多4256安打を日米通算で抜いて「世界一」に。同年8月7日のロッキーズ戦で大リーグ史上30人目の通算3000安打を達成した。

 19年3月に現役引退。オリックスでの通算成績は951試合で打率・353、118本塁打、529打点、199盗塁。大リーグ通算成績は2653試合で打率・311、117本塁打、780打点、509盗塁。

 06、09年には2大会連続でWBCに出場。侍ジャパンの世界一連覇に大きく貢献した。

 引退後は学生野球資格を回復。20年から全国各地の高校で指導を行っている。また、草野球チーム「KOBE CHIBEN」を結成し、21年からは高校野球女子選抜と対戦。4年目の昨年は松井秀喜氏、松坂大輔氏も参加して東京ドームで行われた。

 今月21日(日本時間22日)には米野球殿堂入りの発表が控えており、イチロー氏はこちらも殿堂入りが確実。マリアノ・リベラ(ヤンキース)以来、史上2人目の満票での殿堂入りの可能性もある。

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