◇主演俳優賞 「あんのこと」「ナミビアの砂漠」
「あんのこと」「ナミビアの砂漠」、複数作品での主演賞は女優では05年の田中裕子(69)以来。河合優実(24)は「主演は物語に占める割合がとても大きくて、自分のお芝居一つで映画の色を変えてしまう。そういうことを意識して学びの多かった2本なので、それを評価していただけたことはこれからの糧になると思います」とほほ笑んだ。
「あんのこと」では、母親に売春を強いられ薬物依存からも抜け出そうともがく杏役。事実がベースなだけに「悲しくて許せないことが実際に起きていて、それを私が演じてたくさんの人に見せることが果たしていいことなのか。その気持ちを乗り越えることが苦しかったし大変でした」という。だが、公開後に好意的な感想を目にし「精いっぱい作ったものが届いたんだと、心に重くのしかかっていたものが解放されたような気持ちになりました」と明かした。
一方の「ナミビアの砂漠」は、人生に目標を持てず2人の恋人の間で揺れ動くカナという役どころ。念願だった山中瑶子監督(27)とのタッグが実現し、カンヌ映画祭にも参加。「映画に対してのハードルが高くなく、若い人がふらっと見に来て友達のように感想を言ってくれる。刺激が大きかった」と海外への興味も湧いた。
昨年を「物凄い渦に巻き込まれた一年」と表現。TBSドラマ「不適切にもほどがある!」に始まり、映画も4本が公開。CM出演も相次ぎ、「たくさんの人に知ってもらい、それに伴って自分が出た作品が広く届いたことに凄くビックリして、それに気づかないままずっと走っていた感じもあります」
4月スタートのNHK連続テレビ小説「あんぱん」ではヒロインの妹役を演じる。映画もきょう17日公開の「敵」を含む3本が待機。成長曲線はさらに上昇カーブを描きそうだ。 (鈴木 元)