◇大相撲初場所 5日目(2025年1月16日 両国国技館)
【玉ノ井親方 視点】ちょんまげ姿で番付を駆け上がっていった頃の勢いがすっかり消えてしまった。序盤戦を終え早くも3敗目。大の里が以前のように簡単に勝てなくなったのは、それだけ対戦相手に研究されているからだろう。
右を差す形になれば無類の強さを発揮するが、差せないと上体が浮いて足がそろう。相手もその癖を見抜いて、一度当たってから下から起こすような相撲を取るようになった。この日も王鵬に突き起こされて足がそろった。右を差せず、上手を引いて土俵際まで押し込んだものの、上体がかぶさるようなアンバランスな形になり、土俵際で回り込まれてしまった。
対照的に王鵬は土俵際での粘りが光った。天性の上体の柔らかさに加え、立ち合いでしっかり相手を押し込んでいるから下がった時でもすぐに反撃に転じられる。今場所の台風の目になりそうだ。 (元大関・栃東)