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恩師を驚嘆させた30年前のイチロー 愛工大名電の中村豪元監督「あんなスイング見たことない」

スポニチアネックス 2025年1月17日 15時49分

 イチロー氏の殿堂入り関連で愛工大名電時代の監督、中村豪氏(82)を取材する機会に恵まれた。同校を5度甲子園に導き、全国的強豪校に育てた名将が「未だに強烈に印象に残っとる」と振り返るのが、30年前に見たイチロー氏のスイングだった。

 「震災の時に、神戸で練習できんから“屋内練習場を使わせてもらえませんか?”と連絡してきた。“ええよ、使え”と言ったら本当に来て、俺も見に行った。手伝うことはできないから見ていただけだけど、それはもう凄かった」

 中村監督の下から巣立って4年目。在校時代はずっと見ていたはずの教え子の打撃が、まるで別人のように成長していた。

 「ヘッドスピードから、打球音から。“うはあー!”と思った。よっぽど振り込んだんだろうよ。未だにあんなスイングは見たことない」

 高校時代から他の生徒とは一線を画す存在だったそうだ。「一匹オオカミだよ。3年生になっても、あまり仲良くやっていた感じはない」。ただ、高校3年夏の愛知県大会決勝で東邦に敗れた時の姿は、忘れられないという。

 「自分のことは“俺はこれでいい。ドラフトにかかれれば”と言っていた。その時に、スタンドの方に行ってベンチに入れなかったメンバーに“悪かったな、甲子園に行けなくて”と声をかけていたんだ。あれは凄く印象に残っているね」

 中村氏は02年から同じ愛知県の豊田大谷で指揮を執り、定年退職後は愛知県西尾市で隠居生活を楽しんでいる。以前はイチロー氏も夫人連れで訪ねてきたことがあったが「田舎だから騒ぎになって。“もう来んでいい”と言った」と笑う。教え子の殿堂入りは、16年の工藤公康氏に続く二人目となった。

 「俺が教えた子が14人、ドラフトされたんだ。その中で工藤とイチローと山崎武司。3人がいっちょ前になったから。ええのに巡り会えたね」

 近年はイチロー氏と交流はないものの「毎日、CMで見るから。“あれがあのイチローか?”と不思議な気持ちだよ」と柔和な表情を浮かべていた。(記者コラム・山添 晴治)

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