目指すはキャリアハイ5完投――。ソフトバンクの有原航平投手(32)が17日、福岡市内で自主トレを公開。今季の目標の一つに17年の自己最多4完投を上回る5完投を設定した。5完投以上した球団の右投手は、06年に6完投した斉藤和巳(現3軍監督)が最後。高い目標へ腹斜筋を鍛えるトレーニングなどを継続中だ。完投ボディーをつくり上げて、2年連続で開幕投手を務める新シーズンへ向かう。
表には出さなかったが、有原は先発が内定している3月28日のロッテとの開幕戦から一人で投げ抜く準備を着実に続けていた。
「トレーニングのメインは直球をもう少し力強くする体づくりです。あとは去年5完投したいと言ったけど届かなかった。今年こそ達成できるように」
この日、屋外の練習で公開されたのは球場の右翼ポールから中堅の定位置までを4往復したランニング、キャッチボール29球の約17分だった。「今日はたまたま。長い日もありますよ」と笑顔で詳細をベールに包んだが“塾生”によると屋内で連日みっちり追い込んでいるという。
プロ入り後初めて合同自主トレを行い、3年目左腕・松本晴、育成3年目捕手・盛島と汗を流している。松本晴は「有原さんは秘密の特訓が多い。見えないところで、凄い努力を積み重ねてきている。僕らは秘密の一部を一緒にやらせていただいています」と証言。“コソ練”で腹斜筋を細かく鍛え抜く独自の体幹メニューなどに取り組んでいる。
「有原さんはスイスイやるけど僕らはもん絶。体力、馬力が違う」と松本晴。後輩と17年の自己最多4完投を超えるタフなボディーをつくり上げようとしている。5完投すれば球団では12年の大隣憲司(6)以来、右投手では06年の斉藤和巳(6)以来19年ぶりの記録となる。
有原は昨季26試合に登板し、14勝をマークして5年ぶり2度目の最多勝に輝いた。3完投(2完封)し、リーグ最多182回2/3を投げたが、夏場に失速した時期があった。8月3日の日本ハム戦から9月6日の西武戦まで6試合で23失点し、1勝3敗。「夏にまだ投げられる試合があった。毎試合平均7、8回を。夏にこそいい投げ方で体が動くように」と話し、今季も25試合登板以上を最低の目標として掲げた。1月末にはブルペン入りし、2月15日から合流する予定の春季キャンプに備える。「まずは開幕のスタートから勝てるように。そこだけを見てやっていきます」。表舞台でしっかり結果を出せるよう“裏メニュー”を淡々とこなして準備を進める。(井上 満夫)