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「忍者」服部慎一郎六段が「忍び足の術」で藤井王将撃破「正直勝てるイメージはなかった」 初対戦で大金星

スポニチアネックス 2025年1月19日 18時54分

 将棋の服部慎一郎六段(25)が19日、名古屋市内で指された朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント順々決勝で藤井聡太王将(22)=竜王、名人を含む7冠=を119手で破り、初の4強進出を決めた。

 公式戦初対局でいきなりの“大金星”だ。終局後は「正直勝てるイメージはなかった。驚いている」と興奮を隠せなかったが、インタビュアーから「忍者のようにヒタヒタと(藤井の)王を負っていましたが…」と“戦法”に質問が飛ぶと、その名字などから“忍者”の異名を持つこともあって苦笑い。「早指しなんでガリガリやってみようと思っていた」と準備作戦が奏功したと説明。一方で桂を矢継ぎ早に繰り出した藤井の終盤の逆襲に「ずっと怖かった」と正直な感想も漏らした。

 富山市出身で同郷の漫画家、故藤子不二雄(A)さん作品「忍者ハットリくん」にちなんだ「忍者服部」名のSNSを立ち上げたり、プロ入り後の昨年に冨田誠也五段と漫才コンビ「もぐら兄弟」を結成してM-1グランプリ2024予選に参加するなど、将棋以外で話題を振りまいたのも今は昔だ。六段とはいえ、すでに新人王戦2回、加古川青流戦と計一般棋戦3度の優勝を誇る若手のホープ。棋界の第一人者である藤井の牙城を脅かす候補の1人としてメディアで名前があがることも多い。それだけに、この日の大盤解説会場で解説を務めていた木村一基九段(51)も「脂ののった2人の対局」と語るなど棋士間でも注目を集めた対戦となった。

 この日、午前中のトーナメント1回戦と午後の藤井戦で2勝を上積みし、今年度の成績はこれで33勝4敗。勝率を・892まで伸ばした。中原誠十六世名人が保持する・855(1967年度)の57年ぶり更新への期待がさらに膨らんだが「残り2カ月。まだまだ。目の前の勝負に集中」と大記録にはまだ欲を出さない。

 一方でこの日、藤井に勝ったことは、自らの“未来”に自信を深めるきっかけになったかもしれない。終局後は朝日杯制覇に向けて「(準決勝、決勝の会場のある)有楽町でもいい将棋をして、優勝できるよう頑張りたい」と力強く宣言し、藤井との次戦に向けても「長い(持ち時間の)棋戦でも対戦できるよう頑張りたい」と力を込めた。藤井が7冠を保持する現状から考えれば、その意味は、もちろん8冠の番勝負で…という意味になる。

 観戦に訪れていた藤井の師匠・杉本昌隆八段(56)も「タイトル戦でもいつかこの2人で…」と話していたように、大きな舞台で2人が激闘を繰り広げる日は、そう遠くない。

    (窪田 信)

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