◇大相撲初場所8日目 ○金峰山(寄り切り)玉鷲●、○尊富士(押し倒し)北の若(2025年1月19日 両国国技館)
平幕の金峰山が、幕内の勝ち越し一番乗りを決めた。
相手は今場所、好調な玉鷲だったが、立ち合いの当たりも前に出る圧力も金峰山の方が上回っていた。土俵際でいなされてバランスを崩しそうになるが、すぐに立て直した。右を差して左も入れ、もろ差しになって寄り切った。横から攻められても芯がブレない強さがあった。
金峰山の良さは、どんな相手でも前傾姿勢が変わらないところ。1メートル95と上背のある体をかがめて、小柄な力士に対しても、低い姿勢で押す相撲を取っている。突きの方向が下から上になるので、相手はどうしても上体が起き上がってしまう。
中日を無傷で折り返したことで、後半戦は上位との対戦も十分にありそうだ。
その金峰山とあす9日目に対戦するのが尊富士だ。
先場所幕内に復帰して2桁勝利を挙げた。今場所もここまで良い内容で1敗をキープしている。
北の若戦も休まず前に出る相撲で一気に土俵を走った。
相手が肩を痛めていて、右を差せななかったためアドバンテージはあった。だが、北の若の肩が問題なかったとしても、尊富士の突進力を止めるのは簡単ではなかっただろう。
立ち合いで当たってからの前に出るスピードと圧力は、良い時の状態に戻っている感じだ。
20日の金峰山との一番が楽しみだ。
(元大関・栃東)