柔道男子100キロ級で16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽賀龍之介(33=旭化成)が20日、現役引退を発表した。東京都内で会見を開き、「本当に幸せな競技生活だった。去年、全日本選手権を戦った後から、自分が出て全日本という舞台で優勝を目指すのは厳しいと率直に思い、やり切ったなという思いが強く残り、引退を意識するタイミングになった」と語った。
宮崎県生まれの羽賀は5歳で柔道を始め、小学生時代には名門・朝飛道場で実力を付け、神奈川・東海大相模高に進学。1年の時には金鷲旗大会で史上初となる20人抜きを達成し、その名を轟かせた。2、3年時には2年連続の高校3冠も達成。高3のインターハイをオール一本勝ちで制し、将来の五輪代表候補と目されるようになった。
10年に東海大進学後は同年11月の講道館杯を制し、シニアで初の日本一に輝いた。その後一時は左肩のケガで低迷した時期があったものの、15年の世界選手権では初出場初優勝の快挙。同年はグランドスラム東京大会も制すなど実績を積み上げてリオ五輪代表に選出され、本番では銅メダルを獲得した。
リオ五輪後は大学後輩のウルフ・アロンらとの代表争いに敗れ、21年東京五輪代表には選出されず。それでもコロナ下で通常の4月ではなく12月に開催された20年の全日本選手権では、100キロ超級の影浦心、太田彪雅ら実力者を破って初優勝。23年11月には強化指定選手を辞退して、国際舞台からは退いていた。
今後は旭化成柔道部のコーチに就任するほか、新年度からは日本オリンピック委員会(JOC)のスポーツ指導者海外研修員として、ドイツに2年間のコーチ留学を行う予定。男子日本代表の特別コーチにも就任予定で、「柔道レベルと同じように、アイされる選手を育てるために勉強したい。競技者ではなくなるが、違う形で柔道界に恩返しをしたい」と語った。