阪神・西勇輝投手(34)が20日、甲子園の室内練習場で、西純矢投手(23)とともに自主トレを公開した。昨年12月末には米ロサンゼルスで自主トレを行い、踏み出す左足の「屈曲」と「伸展」を強く意識した新フォーム習得に着手。あと6に迫った通算130勝、あと18に迫った同1500奪三振を通過点とし、35歳シーズンに「シン・西勇」として存在感を示す。
西勇は、過去16年で積み重ねてきた「安定」よりも、さらなる「進化」を選んだ。
「今年、フォームをめちゃくちゃ変える。正直、変えなくたっていいんです。でも、もっと成績を伸ばしたい」
過去4シーズン、2桁勝利から遠ざかり、過去2年は規定投球回に届かず。巻き返しを決意して渡米。ロサンゼルスのトレーニング施設で膨大なデータに目を通した。メジャーのローテーション投手から、中継ぎ投手、3Aの投手まで。現地のコーチからの助言にも耳を傾け、見つけたフォーム改造の最重要ポイントは、左足を踏み出した時の「屈曲」と「伸展」の動作を強く意識することだった。
「日本のマウンドは軟らかいので、(左足を)屈曲、伸展をしなくても投げられる。でも、それができないと、スピードが落ちる。これは明確にデータで出ていました」
この日の自主トレでも新フォームを確認しながらキャッチボール。「周りから見たら変わらない。でも、僕にとって、めちゃくちゃ変わった行為」。昨季の直球の球速は最速146キロ、平均141・4キロと、過去5年間で最も遅い。踏み出した左足をしっかり曲げ、伸ばす力をボールに伝えて球威を取り戻す。
西勇自身の中で、ここまで変化を加えるのは、10年に右顔面の神経まひを発症して以来だという。
「野球ができないと病院の先生に言われた時。そこぐらいぶりに変えている。僕の立ち位置、年齢でやばいなと思っておかないと、引退するだけなので。闘志が熱いうちに自分を変化させて、しっかり結果を出したい」
今季は、師と仰ぐ菅野(オリオールズ)が昨季巨人で達成した通算130勝や、同1500奪三振の節目も射程圏に捉えている。それでも、「そこは通過点。乗り越えていきたいし、もっと高い目標にしないと」と、さらに上を見据えた。(松本 航亮)
≪西純、心肺機能向上を実感≫阪神・西純は、遠縁にあたる西勇との合同自主トレで仕上がり順調だ。30秒走った後にダンベルを1分30秒持ち上げるインターバル走などを取り入れ、肉体と心肺機能の両面でレベルアップを実感している。「結構、違いを感じている。良くなっている手応えは感じます」。昨春キャンプでは1軍でスタートしながら、第4クールに2軍降格。「失敗した分、同じことを繰り返さないように」と力を込めた。