中居正広の女性トラブルにフジテレビ編成幹部が関与したとの報道などを巡り、少なくとも50社を超える企業が同局のCM差し止めを決めたことが20日、分かった。局関係者は「このまま出稿が止まり続けたら、開局以来の重大な経営危機に陥る」と危機感を募らせている。
CM差し止めの動きが急拡大するきっかけになったのは、同局の港浩一社長による17日の会見。映像撮影などを認めず閉鎖的だとして、SNSでは批判の声が相次いだ。翌18日には日本生命保険やトヨタ自動車などがCMを差し止め。20日はセブン&アイ・ホールディングス、日本マクドナルドホールディングスなど40社以上が見直すことに。朝の情報番組「めざましテレビ」では19本がACジャパンのCMに差し替わった。同局は「多数の広告主・広告会社にご迷惑をおかけしております」とコメントした。
見直した企業の関係者は「不買運動につながる懸念が大きい」と指摘。同局のCM料金は、放送時間帯や視聴率によって大きく異なるが、全国エリアが対象の人気枠の場合、半年間、週1回放送の契約で4000万~3億円。首都圏エリアのみでも1300万~4000万円などとなっている。一般的にCMの差し替えは、企業の判断によるため出稿費用は返還されないが、他社の動きをにらんで対応が連鎖した。
中でも業界に衝撃が広がったのが「サザエさん」で一部のCMがACジャパンに差し替えられたこと。12日放送では8社が「提供」にクレジットされていたが、19日の放送では4社に激減した。代理店関係者は「50年以上続く国民的アニメ。スポンサーからの人気も極めて高い。そこでACジャパンのCMを見ることになるなんて」と驚きの声を上げた。
現在は4月の改編期に向けてCM枠のセールスをかけている真っ最中で、同局の営業局員は「この状況では契約が取れない」とこぼしている。広告代理店社員は「今回の会見では視聴者やスポンサーを納得させることができなかった。このまま何も手を打つことがなければ、来年度以降は数百億円規模の減収も想定される」とその影響の甚大さを指摘した。
≪総務省消防庁ポスター延期≫総務省消防庁は20日、フジテレビのドラマ「119エマージェンシーコール」とタイアップしたPRポスターの配布を延期すると明らかにした。同局の公式サイトによると、ドラマは消防局の通信指令センターが舞台で、現在放送中。消防庁によると、ポスターは消防士の魅力を伝える内容で、20日に公表して、全国の消防に約5500枚配布する予定だった。今後の配布のめどは立っていないという。
≪フジメディアHD株価6%急伸≫東京株式市場で、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの株価が急伸し、一時前週末終値比で8%超高となった。終値は95円(約6%)高の1785円50銭。ネット証券アナリストは、フジテレビの姿勢を問いただそうと「株主総会に出席したい人が増えるという思惑から買われている」と指摘。同時に、1株当たりの純資産に対し株価が何倍かを表す「株価純資産倍率(PBR)」などが低いことから「割安感がある銘柄との見方からも買われたのでは」と分析した。