米移籍情報サイト「トレード・ルーマーズ」が、次回のMLB労使協定でサラリーキャップ導入を望むかどうかのファン投票を行っている。今オフのドジャースの圧倒的な補強を受けてのものだ。
ドジャースは今オフ、ブレーク・スネル投手と大型契約を結び、テオスカー・ヘルナンデス外野手とも再契約、トレードで獲得したトミー・エドマン内野手とも契約延長を結んだ。さらに佐々木朗希投手を獲得し、リリーフ投手のタナー・スコットとも契約した。
1年前のオフは、大谷翔平、山本由伸、タイラー・グラスノーと大型契約を結んだ。現時点での25年の年俸総額は3億7000万ドル(約574億円)にのぼる。MLBチームの多くは財務状況を公開していないため、ドジャースのように選手のサラリーに3億7000万ドルを費やしても利益を上げられるチームがいくつあるかは不明。しかし、スモールマーケットのチームではそのような年俸総額を維持するのは不可能に近い。一部の球団は全米テレビ放映権収益や、収益分配制度により、リーグから年間1億5000万ドル以上を受け取っているが、それでも足りない。
ドジャースはローカルのテレビ放映権料を筆頭に、毎年莫大な収益を得ており、多くの市場では真似できない選手獲得の優位性を持っている。2018年以降、新型コロナによる短縮シーズンを除き、98勝以下のシーズンはない。成功の一因はやはり高い年俸総額にある。米国のソーシャルメディア上では、ファンからの年俸総額の上限を設定する「サラリーキャップ」を求める声がますます強まっている。すべての30チームが選手年俸を2億ドル(約310億円)程度に抑えることが義務付けられれば、レギュラーシーズンでの競争の場は大幅に均等化される。
競争均衡を図る方法は他にもあるかもしれないが、最も効果的な手段はサラリーキャップだ。MLBのオーナーたちは長年サラリーキャップを求めてきた。よく知られているようにそれが原因で1994年のストライキが発生し、その年のワールドシリーズは中止された。選手たちはその要求を拒否し、代わりにその後、ぜいたく税制度が導入された。現行の労使協定は2026年12月1日に失効。オーナーたちが次回、1994年のバド・セリグコミッショナー時代以来最も強力なサラリーキャップ推進活動を行うことは想像できる。
一方でMLB選手会(MLBPA)は、スポーツ界で最も強力な労働組合であり、トニー・クラーク専務理事や交渉担当のブルース・メイヤーの下で団結力を維持すれば、選手たちが譲歩する可能性は低い。2027年シーズンが一部または全面的に中止される心配もある。
「トレード・ルーマーズ」で、サラリーキャップ導入を望むかどうかのファン投票の途中経過は以下の通り。総投票数は3万3739票時点で「YES」は67.14%(2万2653票)、「NO」は32.86%(1万1086票)だった。