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中島哲也監督「渇き。」性加害報道に初言及し謝罪 新作「時には懺悔を」声明 ハラスメント講習など実施

スポニチアネックス 2025年1月21日 16時36分

 映画「下妻物語」「嫌われ松子の一生」などで知られる中島哲也監督(65)が7年ぶりとなる新作「時には懺悔を」の公開(6月)を前に、21日、自身のnoteを更新。2014年の映画「渇き。」における出演女優の“性被害”報道について初めて言及し、謝罪した。また「時には懺悔を」の製作委員会は同日、公式サイトを通じ、過去作品における同監督のハラスメント報道などにより一部で物議を醸していた同作の製作について声明を発表。「今回の件で、多大なるご心配をおかけしました皆様に、深くお詫び申し上げます」と謝罪。インティマシーコーディネーターや心理カウンセラーの参加、ハラスメント講習の実施などの対応策を明かした。

 中島監督をめぐっては「渇き。」におけるフルヌードシーンについて「週刊文春」が22年に出演女優の告発を掲載。新作の製作・公開は今年1月1日に発表されたが、一部で「ヌード強要問題はうやむやか」などと批判の声が上がっていた。

 この日、中島氏は「渇き。」のフルヌードシーンにおける行き違いなど説明。「俳優にとって多大なリスクを伴うこのようなシーンの撮影にあたり、事前に監督である私がA子さんと直接話し合う機会を持たなかったことがこのような事態を引き起こした大きな要因であると、私は認めざるを得ません。結果そのことがA子さんという1人の俳優を精神的にも肉体的にも深く傷つけ追いつめて、俳優という職業を棄てるという決断までさせてしまった…その罪は重く、私はその罪をこれからも背負い続けねばならないでしょう。A子さんに対し、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 新作においては「それならば今後、このような不幸な出来事を操り返さぬために、私にいったい何が出来るのか。今回の新作映画にもいくつか気を遣うべきシーンがあり、その撮影時プロデューサーとも話し合って、インティマシーコーディネーターに入ってもらいました」「撮影現場におけるキャストやスタッフの人権を守るためのシステム、その完成はまだ遠く、でも小さな努力を重ねることで少しずつ前に進んでいくより他に方法は無いと私は考えますし、その努力を続けようと思います」。約2800字に及ぶ長文で思いを記した。

 この日、製作委員会は「本作品の製作にあたりまして、当該報道で指摘されている事案を慎重に確認し、製作を決定しておりますが、当該事案や本作品の内容等も踏まえた上で、十分に協議し、以下の各取り組みを実施しておりますので、ご説明させていただきます」とし「1.出演者とのコミュニケーションについて」

「2.障がいをお持ちのお子さまへの配慮について」「3.ハラスメント講習の実施」の3点から今作の製作について説明。

 「私たちは、制作現場におけるハラスメント等に関する問題を重く受け止め、すべての関係者が安心して制作に参加できる環境を守り続けるため、今後も日々改善に努めてまいります。また、皆様の信頼を取り戻し、よりよい作品をお届けすることが、映画制作に携わる者としての責務であると考えております」とした。

 「映画『時には懺悔を』製作委員会からのご説明」と題した声明は以下の通り。

 拝啓

 この度、本作品の中島哲也監督に関する過去作品の報道の件に関しまして、同監督よりコメントが公表されました。当製作委員会では、本作品の製作にあたりまして、当該報道で指摘されている事案を慎重に確認し、製作を決定しておりますが、当該事案や本作品の内容等も踏まえたうえで、十分に協議し、以下の各取り組みを実施しておりますので、ご説明させていただきます。

 1. 出演者とのコミュニケーションについて

 出演者と制作スタッフのコミュニケーション不足や意思疎通の行き違いなどを防ぐため、出演者と監督をはじめとする制作スタッフ間で適切に情報共有ができる体制を整えました。特に出演者の心身への配慮が必要となる身体的接触や、感情表現が大きいシーンを撮影する際には、インティマシーコーディネーターにもご参加いただき、出演者とスタッフの間の意思疎通の適正化、円滑化を図り、出演者やスタッフの身体的、精神的なケアに重点を置いて取り組みました。

 また、心理カウンセラーにも定期的に撮影現場にお越しいただき、出演者やスタッフが、直接カウンセリングを受けられる体制を整えるとともに、メールでも相談ができる環境を整えました。これにより、出演者やスタッフが、誰にも相談できない悩みを抱えたまま制作が進むことがないよう最大限配 慮いたしました。

 2. 障がいをお持ちのお子さまへの配慮について

 本作品は、重度の障がいがある子どもを通じて、家族の絆や、さまざまな立場にある周囲の大人の心情・心の動きを、リアルに表現する内容となっており、障がいのある子どもを含む多くのお子さまにご出演いただいています。

 そのためにまずは、何よりもお子さまの安全と健康を最優先に考え重度の障がいがある子どものケアに精通している専門家や、救急救命士の資格を持つスタッフが撮影現場に常駐することで、出演者の健康状態や心理状態を常に見守りながら撮影を進めました。

 また、小児医療・福祉分野の専門家をスタッフとして迎え、お互いを知り合うことを大切にし、障がいのある子どもとご家族の意思やお気持ちを尊重しながら、コミュニケーションをとりやすい関係づくりや、合理的配慮の視点から撮影に参加しやすい環境づくりに取り組みました。

 具体的なシーンの撮影にあたっては、ご家族と何度も話し合いを重ね、できる限り、お子さまの体調に配慮した撮影スケジュールや撮影方法を採用いたしました。また、撮影時には常にご家族にもお子さまのそばにいていただき、1シーン・1カットごとにご家族の方にご確認いただきながら、撮影を 進めました。

 3. ハラスメント講習の実施

 本作品の撮影前に、すべてのスタッフを対象としたハラスメント防止講習を行い、出演者やスタッフ同士のやりとりにおいてハラスメントが発生しないように徹底した注意喚起を図り、安心して撮影に取り組める現場づくりに努めました。

 私たちは、制作現場におけるハラスメント等に関する問題を重く受け止め、すべての関係者が安心して制作に参加できる環境を守り続けるため、今後も日々改善に努めてまいります。

 また、皆様の信頼を取り戻し、よりよい作品をお届けすることが、映画制作に携わる者としての責務 であると考えております。

 今回の件で、多大なるご心配をおかけしました皆様に、深くお詫び申し上げます。今後ともご理解とご支援をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年1月21日 「時には懺悔を」製作委員会 

敬具

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