藤川野球の一端が、垣間見えた。スタッフ会議の席上で、指揮官は明確に“イズム”を示した。まずは複数ポジション制だ。
「複数ポジションをたくさんの選手にトライしてもらうことになる。方針としては1人1つではないということ。佐藤輝も、そう(三塁と外野を守ることに)なりますね」
昨季までの2年間の岡田阪神は基本的にポジション固定制で戦ったが、そこを変える。すでに3番起用を明言している佐藤輝は三塁と外野を兼ね、右翼が定位置の4番・森下も中堅、左翼に備えることになる。狙いはリスクマネジメントだ。
「違うポジションでコンディション不良の選手が出た時、そこを(控え選手と)入れ替えるわけではなく。ジャイアンツ岡本選手もレフト、サード、ファーストを守っている」
たとえばシーズン中にレギュラー選手に故障者が出た場合、当該ポジションの控え選手で穴を埋めるのではなく、より打力のある選手を回せればチーム力が落ちにくい。常に最善のオーダーを組みやすくなることに加え、若手抜てきにもつながる。指揮官は「彼らもまだ若いし、固定よりも複数ポジションを守れない方が、(試合に出ることが)難しくなっていく。これはチーム方針。従ってもらいます」と話した。
さらに1、2軍の呼称も撤廃し、それぞれ「宜野座組」「具志川組」とすることも決めた。若手を宜野座で試すことがあれば、主力が具志川で調整することもあるからだ。「1軍、2軍というものは撤廃して。もう高知県と沖縄県ではなく、距離は近いので、くくりは必要ないと判断しました」。開始前から新風を巻き起こす“球児流キャンプ”。間もなく幕を開ける。
≪外国人の来日遅れる可能性も≫
◯…コーチ会議に出席した藤本総合コーチは、外国人選手の来日について「初日からは難しいところ。遅れるかもしれない」と、まだ全体の見通しが立っていない現状を明らかにした。発表された1軍キャンプメンバーには、ゲラ、ビーズリーに加え、新外国人のデュプランティエ、ネルソン両投手に野手のヘルナンデス、育成のベタンセスが選ばれたが、関係者の話によるとロサンゼルスでの大規模火災などの影響もあり、予定より来日が遅れる選手が出てくる可能性があるという。目下、球団の国際部門が調整に努めている。