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イチロー氏殿堂入り会見 イチ流の表現法「僕の中から出てくる言葉じゃないと伝わらない」

スポニチアネックス 2025年1月22日 11時40分

 米国野球殿堂は21日(日本時間22日)、今年の殿堂入りメンバーを発表し、今月16日に日本でも殿堂入りを果たしたイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が日本選手初の殿堂入りを果たした。注目の得票率は99.7%。わずか1票足りず、米国ではメジャー史上最多652セーブを挙げたヤンキースの守護神マリアノ・リベラ氏以来史上2人目、野手では初の満票選出はならなかった。

 イチロー氏に投票しなかった記者は、394人中わずか1人。イチロー氏の得票率は99.746%だった。野手の過去最高得票は、2020年の元ヤンキース、デレク・ジーター氏の397人中396人の99.748%で、元同僚のジーター氏と同様に満票選出に1票足りなかった。

 イチロー氏はその後、シアトルで記者会見に出席。「振り返ると、あまりにも多くの出来事があった。いいことだけではなく、苦しいこともたくさんありました。最終的に一歩ずつここに近づき、この日を迎えられたことは言葉では言い表せないほどの気持ちです」と心境を話した。

 また、現役時代にどういう気持ちで言葉を発していたかにも言及。「僕の中から出てくる言葉を選んでいました。じゃないと伝わらないから。人から聞いたいい言葉とかいい話っていいんだけど、公の場で僕の言葉じゃない言葉で話したとしても聞いている人は分かっちゃうんですよね。不思議なことに。僕の中から湧いてくる言葉を表現していました」と説明した。

 イチ流の表現について「降ってくるのを待っていることはありました。それでもつくり上げたという感じじゃないんですよ。言葉って確かに何か自分の意思とか気持ちを伝えるのに基本的には言葉でしか伝えられない。自分の言葉じゃない言葉で伝えたとしても、(報道陣の)皆さんは話を引き出すお仕事ですから。それって感じられてきたんじゃないですか?いろんな人たちと話をしていて、僕が聞いてみたいくらいです」と話した。

 報道陣についても「今の記者さんたちって大変だなと想像するんですけど、表現している言葉を額面通りに取れないんじゃないかって。その裏側を捉えないといけないけど、表現していないからそれが書けない。表現ができないもどかしさは現代の深刻な病とまでは言わないですけど、言葉の裏側を捉えないといけない。だけど、それは表現できない。僕はなるべく自分が思っていることを表現したいと思っています。それでも現代は難しい。いろんなことをカバーしようとしたら無理ですよ。話なんかできない」と話した。

 また「僕としては薄っぺらい会話なら何を言ったっていいんだけど、深く議論を呼びそうな話題になったときは7:3のバランスでアンチがいるといいなと思っています。10割賛同される意見なんてつまらないです。つまらないし、議論にならない。そもそも。6:4だとちょっとね。8:2でも(賛否の)賛が強すぎるのも、問題でもないんだけど、7:3くらいのバランスを目指している。それは結果だからわからない」と持論を展開した。

 今月16日、競技者表彰のプレーヤー部門で日本野球殿堂入りを果たしたイチロー氏は日本でも満票選出の期待が高まっていたが、得票率は92.6%だった。

 イチロー氏は大リーグ1年目の01年にマリナーズで首位打者と盗塁王に輝き、アメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)と新人王を同時受賞。04年にはメジャー新記録のシーズン262安打で2度目の首位打者を獲得した。

 デビューから10年連続で200安打以上を記録し、外野手としてゴールドグラブ賞も10年連続で受賞。大リーグ通算成績は2653試合で打率3割1分1厘、117本塁打、780打点、509盗塁。

 ▽米国野球殿堂の選出方法 競技者部門の選考対象はメジャーで10年以上プレーし、最後にプレーしてから5年以上経過した選手。全米野球記者協会に在籍10年以上の記者が成績、品格、チームへの貢献度などを考慮して投票し、75%以上得票で殿堂入り。選考期間は10年間で得票率が5%に満たなければ翌年の対象外となる。会員投票とは別に、選考委員が時代別に功績を残した選手らを選ぶ方式もある。

 ◇イチロー(本名・鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年(昭48)10月22日生まれ、愛知県出身の51歳。愛工大名電では2年夏、3年春の甲子園に出場。91年ドラフト4位でオリックス入団。94年に登録名を「イチロー」に変え、当時日本記録のシーズン210安打で首位打者&MVP。01年からはマリナーズ、ヤンキース、マーリンズでプレーし、マリナーズに復帰して迎えた19年3月21日にアスレチックスとの開幕第2戦(東京ドーム)の試合後に現役引退を表明。06、09年WBCで世界一。現役時は1メートル80、80キロ。右投げ左打ち。

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