NHKの山名啓雄メディア総局長が22日、東京・渋谷の同局で定例会見を行い、タレント中居正広(52)の女性トラブルにフジテレビ幹部社員が関与したとの報道などを巡り、芸能関係者とテレビ局員の関係に疑惑の目が向けられている中で、局内の実態調査についてあえて行わない意図を説明した。
民放各局が実態調査を行うことを発表する中、NHKはこれまでの内部通報システムがあり、これまでハラスメントに関わる事案が報告がないとし、追加での実態調査を行う予定はないと発表した。
山名メディア総局長は「調査しないというよりはそもそもどんな事案か事案の詳細は我々は分かっていないので何をもってというのはありますが」と前置きしたうえで「例えばハラスメントだったり、そういったものを通報システムがあって、そういったものが日常的に通報があれば対応している。今の時点でそういうものがない。
(対応策としては)改めてそういう仕組みがあるんだよってことは周知徹底するということになるかと思う」とコメントした。
アナウンス室の担当者は「我々の今回の件ということに限らず、アナウンス室では年度後半に、3カ月ほどかけまして、全国のアナウンサー対象にハラスメントなど職場に問題が起きていないかということを対象に、多層的に聞き取るヒアリングを実施している。今回のヒアリングが昨年末に終わったところ」としたうえで「最新の聞き取りの情報がある中で、現在のところ、今回のような事案は確認されておりません。引き続き、何かありましたら、対応を続けてまいります」と補足。そのうえで「わざわざ調査するまでもなく、我々は通所のプロトコルの中で毎年
ハラスメントを含めて職場環境が大丈夫か、業務状況が大丈夫かっていう面談を丁寧にやっています。
その最新の知見が昨年末の状況ですので、現状、一番新しい情報として今回のような案件はないと皆さんにお示ししている」と説明した。
今回のトラブルで、一部では女子アナ“上納”飲み会と報じられ、フジテレビ社員の関与も伝えられていたが、港浩一社長は17日の会見で「懇親の場を持つことはある。でも、週刊誌報道にあるような性的接触があるとかそういったことは全くないと私は信じております」と話した。
会見は2月に予定されていた定例会見を前倒しする形で開催され、在京の一般紙とスポーツ紙、通信社によるラジオ・テレビ記者会のほか、NHKと在京民放キー局の記者がオブザーバーとして参加しただけ。週刊誌やネット媒体は締め出され、出席できた報道陣は19社33人と、問題の大きさと比較して小規模な会見だった。これらの対応を受け、保険、メーカーなど多くのスポンサー企業が同局へのCMを差し替える動きに発展。20日までに少なくとも50社を超える企業がCM差し止めを決断した。
また、芸能関係者とテレビ局員の関係に疑惑の目が向けられている中、今回の問題を受け、TBSは社内調査を始めたと公表。日本テレビも番組の制作現場などで「会食などにおける不適切な性的接触」がなかったか、外部の専門家を入れて社員らにヒアリングを行うと明らかにした。テレビ朝日は「(報道を受けて実施した)これまでの調査では、ご指摘のような事案はございません」と説明。テレビ東京も「人権方針に沿った調査を検討しています」とした。