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女性初プロ棋士ならず…西山朋佳女流3冠、遠かったあと1勝「いろいろ思いはあるが…試験官の方々に感謝」

スポニチアネックス 2025年1月22日 17時58分

 西山朋佳女流3冠(29)が22日、大阪・関西将棋会館で棋士編入試験の最終局に臨み、柵木幹太四段(26)に敗れた。通算成績を2勝3敗。史上初の女性棋士を目指して臨んだ大一番だったが、無念の投了となった。

 対局後、西山は「いろいろ思いはあるが、難しい立場の中、5人の試験官の方々には、公式戦もあって忙しい中で向き合ってくださったことを感謝しています」と、悔しさを押し殺しながら、感謝の言葉をまず口にした。

 試験官の柵木も「終盤は負けててもおかしくない局面もあった。最後まで分からなかった。逆転負けしそうだなと思ったところもあったし、とても力を感じた」と、その力を称えた。

 先手柵木、後手西山で始まった第5局。西山は第1、4局で快勝を収めた得意の三間飛車に思いを託した。対する柵木は、奨励会時代に対西山戦5勝0敗とする“西山キラー”。序盤から柵木の事前研究が光り、西山は押される展開となった。角を中心とした攻めで食らいつき激しい玉頭戦に持ち込んだが、柵木が冷静に対応。女性初の棋士誕生とはならなかった。

 小学校入学前に父と姉が指している姿を見て興味を持ち、将棋を始めた西山。中学2年生だった09年に中学生女子の全国大会で優勝し、翌10年に棋士養成機関である奨励会に入会した。20歳だった16年に最高段位「三段」へ。全国から集まった強豪たちがしのぎを削り、“鬼の棲家”とも言われる戦場。その中で西山は19~20年にかけて行われた第66回三段リーグで、昇段ラインである14勝4敗の成績を収めた。

 この時昇段した服部慎一郎六段(25)、谷合廣紀四段(31)とは同星。しかし前期の成績に基づく開幕順位差で昇格枠「2」には届かず3位となり、次点に泣いた。もう少しが遠かった、棋士への道。その後21年に女流棋士に転向し、ここまで女流棋戦通算146勝46敗、勝率7割を誇る活躍を見せている。

 夢への挑戦切符を手にしたのは昨年7月。朝日杯一次予選で阿部光瑠七段(30)に勝って直近の公式戦成績を13勝7敗とし、棋士編入試験の受験資格条件となる「直近の公式戦が10勝以上かつ勝率6割5分以上」を達成した。過去に福間香奈女流5冠(32)が女性で初めて編入試験を受けたが、結果は0勝3敗。険しい茨の道を、西山は突き進む覚悟を決めた。

 新進気鋭の四段を相手取り戦い抜く中、女流棋戦の番勝負にも挑んだ。体調面では9月27日に新型コロナウイルスに感染したことが判明。第1局は勝利も、その後連敗して1勝2敗のカド番に追い込まれる。心身ともに苦しい期間があったが、第4局を快勝。望みをつなぎ、「泣いても笑っても最後の大一番」と語った最終局。あと一歩が、また届かなかった。

 ▽将棋の棋士編入試験 編入試験は2005年に特例で実施され、アマとして活躍した瀬川晶司六段が合格して翌年、正式に制度化された。以降、今泉健司五段、折田翔吾五段、小山怜央四段が受験、プロとなった。

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