西山朋佳女流3冠(29)が22日、大阪・関西将棋会館で棋士編入試験の最終局に臨み、柵木幹太四段(26)に敗れた。通算成績を2勝3敗。史上初の女性棋士を目指して臨んだ大一番だったが、無念の投了となった。
対局後、記者会見に臨んだ西山。昨年9月から4カ月にわたった編入試験について「長いなとは思っていたが、日程が近づくとあっという間だった。5局を振り返っていろいろなことがあったが、自分自身幸運な面もあって最終局までいけたのかなと思うところもある。年明けまでもつれ込む想像はしていなかったが、充実した期間だった」と笑顔で振り返った。
5番勝負を通じては「たくさんの方に注目していただいたことで、それに見合った将棋をというのもありましたし、少しでも納得いく将棋をということで日々を送っていた。将棋に触れる時間も増えて充実した時間で収穫も多かった」と語った。
逆に足りなかったことについては「今日もそうだったが、準備と微妙な違いがあったときに対応する力が足りなかった」と課題を口にした。
そして今後の夢について「落ち込む間もなく女流棋戦のタイトル戦がある。そちらの方も注目していただければうれしい。女流棋界はスポンサーの皆さまのおかげで活性化してきた。私自身、そういったところに少しでも携わっていければいいと思っています」と前を向いた。
先手柵木、後手西山で始まった第5局。西山は第1、4局で快勝を収めた得意の三間飛車に思いを託した。対する柵木は、奨励会時代に対西山戦5勝0敗とする“西山キラー”。序盤から柵木の事前研究が光り、西山は押される展開となった。角を中心とした攻めで食らいつき激しい玉頭戦に持ち込んだが、柵木が冷静に対応。女性初の棋士誕生とはならなかった。
▽将棋の棋士編入試験 編入試験は2005年に特例で実施され、アマとして活躍した瀬川晶司六段が合格して翌年、正式に制度化された。以降、今泉健司五段、折田翔吾五段、小山怜央四段が受験、プロとなった。