金峰山が大きな一番をものにした。勝因は相手が嫌がる相撲を取ったことだ。大の里とは学生時代から対戦しているだけに、その癖を分かっていたのだろう。もろ手で当たって、すぐに喉輪で大関の上体を突き上げた。
大関の弱点は立ち合いで突き起こされると、顔が上を向いて足がそろってしまうところ。そうなると出足が一歩遅れ、右も差せなくなり引き技に頼りがちになる。そこを金峰山に突かれてしまった。
ただ、1敗を死守した金峰山にも不安はある。相手を突き起こした時は強いが、前日の阿炎戦のように逆に突き起こされるともろさを露呈する。きょう12日目の豊昇龍戦は大関を突き起こして、前に出られるかがポイントだろう。
2敗を守った王鵬は重心が低く、取っている時の構えが良い。以前は押されると棒立ちになる傾向があったが、今場所はそれがない。金峰山とともに楽しみな存在だ。(元大関・栃東)