ソフトバンクの柳田悠岐外野手(36)が22日、大分県佐伯市での自主トレを公開した。練習では97年の皐月賞、ダービーを人気薄で制した大西直宏騎手の言葉をモチーフにした個性的なTシャツを着用。人気よりも結果を求めて15年目のシーズンに挑む。練習前にはイチロー氏(51)の米国野球殿堂入りのニュースが飛び込み、偉業を祝福。結果を出して同氏に並ぶ3度目のMVP受賞となれば、リーグ連覇の可能性も高まる。
柳田は知人からもらったという超個性的なTシャツを着て守備練習で汗を流した。胸にプリントされていた言葉は「一番人気はいらない 欲しいのは、一着 第九話」。1997年の皐月賞と日本ダービーを制したサニーブライアンに騎乗した大西直宏騎手が、人気薄での牡馬クラシック2冠達成後に残した名言をモチーフにしたTシャツだ。
「あれは競馬じゃなくて野球で人気はいらないと。結果がほしいというイメージですかね」
この日の朝には数々の“結果”を残した名選手の朗報が入ってきた。イチロー氏が日本選手で初めて米国野球殿堂入り。「雲の上の存在ですし、一ファンとして凄いなと。こういう選手はもう二度と出てこないと思います」と話し、自身の野球の原点を思い返していた。当時7歳、小学2年生だった95年に柳田少年は日本シリーズで活躍する当時オリックスのイチロー選手を見て「うわ、カッコいい」と感じて野球を始めた。小学6年の時に広島の野村謙二郎氏に憧れて左打者に転向。野村氏の故郷である佐伯市で合同自主トレを続けて今年が3年目になる。
憧れのイチロー氏に並べるNPBのタイトルがある。15、20年と過去に2度獲得しているMVPだ。オリックス時代のイチロー氏は94年から3年連続で受賞している。「そこは厳しいんじゃないんですか」と苦笑いしたが、昨年には馬主としてデビューした柳田をTシャツの言葉が勇気づける。サニーブライアンと鞍上の大西騎手は、見事に下馬評を覆した。今年37歳シーズンだが、過去には40歳で獲得した88年の門田博光(南海)のような例もあり、諦める必要はない。
昨季は右脚の筋損傷で長期離脱したが「けがにびびらず、追い込みたい」と、この自主トレでは鍛え上げている。今季は7年契約の6年目。「僕もあとちょっとしか多分野球をやらないと思うので。残りの野球人生を楽しみながら試合に出続けて、自分に打ち勝つことを目標にしたい」と15年目のシーズンをにらんだ。 (井上 満夫)
▽97年の牡馬クラシック 皐月賞で11番人気のサニーブライアンが不利とされた大外18番枠から快勝した。ダービーも大外18番枠で6番人気に甘んじたが、「1番人気はいらない。1着が欲しい」と語った主戦・大西直宏騎手のこん身の逃げで2冠を達成する。その後は骨折、屈腱炎でダービーが最後のレースになった。