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「御上先生」岡田将生のセリフ「パンドラの箱」って何? 御上の“ある言動”から分かる、深すぎる裏の顔

スポニチアネックス 2025年1月23日 11時18分

 俳優の松坂桃李(36)主演のTBS系日曜劇場「御上先生」(日曜後9・00)の第1話が19日に放送された。国家公務員採用試験で起きた殺人事件という衝撃映像から幕を開け、現実社会に突き刺さるようなセリフの数々が大きな反響を呼んでいる。

 <以下、ネタバレあり>

 同作は、松坂演じる東大卒の「文部科学省エリート官僚」が出向で私立高3年の担任教師になったことを機に、生徒を導きながら教育制度を現場から壊して権力に立ち向かう物語。映画「新聞記者」などで知られる詩森ろば氏によるオリジナル脚本で、「ドラゴン桜」(21年)や「VIVANT」(23年)、「アンチヒーロー」(24年)など数多くのヒット作を手掛けた飯田氏がプロデューサーを務める。松坂の日曜劇場出演は、大ヒットとなった「VIVANT」以来で、主演は初めてとなった。

 物語は、令和6年国家公務員試験採用総合職一次試験の会場のシーンで、受験生が刺されるという衝撃シーンで幕を開ける。場面は移り、東京・霞が関の文科省。総合職試験の会場で人が刺されたというニュースでざわつく中、これから私立の高校へ派遣される御上は同僚の話には乗らず、デスク上の私物を整理していた。そして、段ボールを抱えて文科省を後にする。御上が向かったのは、私立隣徳学院3年2組の教室。文科省官僚から“体のいい島流し”として派遣され、御上はこの教室の担任となった。生徒や教師の好奇の目にさらされながら、自身の主張を理路整然と主張する。そんな中、過去に教師の不倫を学級新聞で報じて退職に追いやった報道部の部長・神崎拓斗(奥平大兼)と対峙。御上を気に入らない神崎は、「文科省の闇」として御上が派遣された理由を学級新聞で報じた。

 神崎が作成した新聞には「御上先生は犯罪者」「隣徳へ来たのは左遷人事か」と見出しがつけられ、「文科省の闇が明らかに」という中見出しも。左遷の理由として「天下りあっせん疑惑」と報じた。

 場面は変わって、霞が関の文科省。この新聞を手に御上の同僚・槙野恭介(岡田将生)が「御上のクラスの生徒がつくったそうですよ」と、上司で文科省総合教育政策局の局長・塚田幸村(及川光博)に投げかける。塚田は「大した取材力だ」と感心するが、槙野は「でもこれ放っておいたら、パンドラの箱が開いちゃいそうじゃないですか?」と危機感をあらわにする。

 塚田が「うん?パンドラの箱って?何の事かな?」とおどけたような顔を浮かべると、槙野は「ありとあらゆる不幸や災いを閉じ込めたあの箱のことですよ」と返答。「フフッ、人が悪いね。縁起でもないこと言わないでくれよ」という塚田に、「なので、それが開く前に何とかしますよ、僕が」と口にする。

 槙野が守ろうとしている「パンドラの箱」とは、いったい何を指すのか。

 「パンドラの箱」は、ギリシャ神話に登場する箱で、槙野が言う通り「ありとあらゆる不幸や災いを閉じ込めた箱」。神話の中では、パンドラという女性がこの箱を開けたことで、地上に不幸や災いが広がった…とされている。

 槙野が言う「パンドラの箱」の中身は、よく見ると作中のあらゆる場面に散りばめられているように思う。まずは、御上の左遷人事。表向きは改革のための人事というが、御上は何者かに罪をかぶせられたとしている。このような、不祥事を闇に葬るための正当でない人事は、文科省のようなエリート組織の中で「日常だ」と御上は指摘している。塚田と槙野は自身の地位を守るために、革新的な御上を左遷したのかもしれない…という、組織の腐敗的な面が露呈したワンシーンとなった。

 さらに、御上先生は隣徳学院配属初日に、生徒に向かって「上級国民予備軍だ」と、現在のエリート像を皮肉る発言をしている。「上級国民」というワードは、作中のみならず現代社会でもよく使用されるようになった言葉で、権力に守られ好き勝手する人々を皮肉する表現だ。

 この「上級国民」に対し、御上は「真のエリート」を「エリートはなぜ神に選ばれるか。それは、普通の人間なら負けてしまうような欲やエゴに打ち勝てる人だから。自分の利益のためではなく、他者や物事のために尽くせる人だからだ。僕はそこに付け加えたい。真のエリートが寄り添うべき他者とは、つまり弱者のことだ」と語っている。現実社会でも、「上級国民」は自身の地位を守ることに必死だ。自分の利益ではなく、弱者に寄り添う者こそが真のエリートだと主張する御上の言葉は、社会にはびこる「上級国民」にも響くはずだ。

 “臭い物に蓋をする”人事や、不祥事をもみ消し自分のことしか考えていない上級国民たちが国を牛耳っている現状。戦後平等社会からいつの間にか経済格差は広がり、決して豊かとは言えない社会になっている。御上は、そんな腐敗した社会を改革するために「教育」が何よりも大切だと考え、未来を担う子供たちが秘める可能性が日本を変えると信じている。

 腐敗した大人たちに意志を奪われないよう、自ら教育現場に立つ。その御上の姿勢は、初回冒頭の「君たちの中に眠っている可能性が僕を導く」というさりげないセリフにも秘められており、御上は教育を通して日本全体を改革しようとしていることが第1話で判明した。

 御上のような意見を持つものが増えてしまうと、塚田や槙野にとっての“不幸”「パンドラの箱」が空いてしまい、自身の立場や権力を守れなくなってしまう。御上は、それを開けようとしている…という構図で、今後の物語は展開していくかもしれない。26日放送の第2話が見逃せない。

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