阪神・坂本が23日、神戸市にある「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を訪問した。同所は入院・通院する子供を抱える家族たちのための滞在施設。闘病中の子供や、その家族ら約30人と交流した31歳は今季の目標の一つとしてお立ち台に上がることを掲げた。
「立つ機会がないから立ちたい。いろんなことを考えたり、思いながら野球をするきっかけを感じられた」
昨年9月18日の中日戦ではプロ初の4安打を記録。試合後にインタビューを受けたものの場所は敵地のバンテリンドームだった。結局、本拠地でのお立ち台は1度もなかった。今回の訪問では子供らへのサイン会や写真撮影だけでなく隣接する病棟も回った。「元気を与えるはずが逆に元気をもらった」。応援を力に変え、ヒーローになった姿を必ず見せるつもりだ。
23年12月には大阪府内の施設を初訪問。2度目の訪問となる今回は後輩の岡留と阪神のグッズも寄付したが、施設関係者らの要望にも耳を傾け、今後の支援の輪を模索した。
「(付き添いで大変な家族の方がいつでも食べられるように)保存できる物がいいという話も聞いている。甲子園カレーのレトルトのやつを寄付するとかを考えている」
日本プロ野球選手会が19年から病気の子供と、その家族を支援する「公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」を支援し坂本ら12球団の選手40人が参加。昨年は総額1164万2000円を寄付した。「こういう仕事をさせてもらっているので伝えられるものがある。力になりたい」。シーズンで活躍して、今度は子供たちの背中を押す。(石崎 祥平)
○…岡留は「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を初訪問した。「子供たちのボランティアをしたい」と球団に申し出て実現。昨年から寄付はしていたものの訪問は初めてだった。子供たちからの質問には時折、冗談も交えながら笑顔で交流。「プロ野球選手だからできる取り組み。僕たちが行くことで希望、元気を与えられる。不自由なく野球をできているのは本当に幸せなこと」。今季4年目の25歳は今後も子供たちの支援活動を継続する決意を示した。
▽公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン 自宅から遠く離れた病院で入院、通院する子供を、その家族が精神的や経済的に大きな負担なく看病ができるように、病院近くに低料金で滞在できる施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の設置・運営を行っている。日本では全国12カ所で運営されており、運営費は企業や個人からの寄付によりまかなわれている。