第97回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪市内で開かれた。21世紀枠では、壱岐(長崎)と横浜清陵(神奈川)が選出された。ともに初出場。
選考理由を説明した日本高野連の宝馨会長は壱岐について「一番に選出された」とし、「地域にも良い影響を与えていることが評価された」とした。
壱岐は選手21人が壱岐島出身。昨秋の長崎県大会で準優勝し、創部48年目にして九州大会に初出場で8強まで進むなど旋風を起こしていた。
浦上主将が在籍していた郷ノ浦中は、22年の九州中学生選抜大会で九州王者に輝いた。勝本中は22年の県中学総体を制して、全国大会に出場した。中学野球引退後に島内であった合同練習で「壱岐から甲子園」を目標に結束。島に残って白球を追った。昨秋の長崎大会で準優勝。九州大会では準々決勝で敗れたが夢をつかんだ。
練習試合や公式戦があれば1日数便しかないフェリーに1時間半乗り、さらにバス移動で球場に出向く困難にも、自然豊かな街で育った部員はポジティブに向かい合ってきた。市は野球部をサポートするクラウドファンディングもスタートさせている。
その後、壱岐以外の候補で選考が進められ、横浜清陵は県勢初の21世紀枠選出となった。神奈川から公立勢が出場するのは97年の横浜商以来。
宝会長は「自治を大切にしている。選手間でリーダーを定め、自治会議で意見を出し合ってチームづくりを進めている。強豪校がしのぎを削る大都市でも戦えるロールモデルになるのではと評された」と説明した。
1974年に清水ケ丘として開校。2004年、大岡と統合して横浜清陵総合に改称。2017年から現校名となった。
野球部は甲子園出場なし。昨夏は3回戦で横浜創学館に5―6で敗戦。秋季大会は神奈川県大会8強に進出し、準々決勝では東海大相模に0―5で敗れていた。
他の部とグラウンドは共有で、活動時間も限られるなど制約がある中、創意工夫ある練習をしながら成果を残したことが評価された。
宝会長は「かたや離島、かたや大都市圏ですが、ともに選手が主体となってチーム作りしていることが共通している」と述べた。
▽21世紀枠 甲子園への出場機会を広げるために01年の第73回大会から導入。練習環境などのハンデ克服や地域貢献など戦力以外の要素も加味する。秋季都道府県大会16強(加盟129校以上の場合は32強)以上を条件に、全国9地区から1校ずつ候補として推薦。昨春選抜から1減の2校となり、東西関係なく選ばれる。最高成績は01年宜野座(沖縄)と09年利府(宮城)の4強。