カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦地検は23日(日本時間24日)、ドジャース・大谷の元通訳で、銀行詐欺罪などに問われた水原一平被告(40)に禁錮4年9月と釈放後3年間の保護観察処分、大谷への約1700万ドル(約26億円)の賠償などを求刑。量刑は2月6日(同7日)に同州サンタアナの連邦地裁で言い渡される。
同被告は連邦地裁に提出した書面で金に困り「やりくりの助け」になると考えスポーツ賭博を始めたと主張。大谷宅近くに家を借りる必要があり出費がかさんだとも主張した。一方で自身の収入増につながるテレビ出演、本の執筆などは認められなかったと訴えた。
スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は同被告が大谷の銀行口座から送金手続きをする際の電話の音声を入手と報道。銀行側に声の主を問われ「大谷翔平です」と応じ、送金理由は「車のローン」と回答したという。
同メディアのエバン・ドレリッチ記者は、水原被告が連邦地裁に提出した書面の全文を公開。ジョン・W・ホルコム判事宛の文書では「今日は判決公判の前にあなたに手紙を書いています。悲しいことですが、判決が寛大なものであって懲罰的ではないことを祈ります。今日のあなたの判決によって多くの人生が影響を受けますので、私がこれから言うことを考慮してください。裁判長、ご存じのとおり、私が犯した罪は銀行詐欺と脱税です。私が法律に反する行動をとった動機をお話ししなければなりません。私は自分の取った行動を心から後悔しています」と書き出した。
大谷がエンゼルスに移籍する2017年オフから「通訳兼マネジャー」として働いてきたとし「私は、翔平のために働き始めてからずっと、自分の命だけでなく家族の命も犠牲にして、翔平を第一に考えてきました」とした。
さらに「通常、日本の野球選手が米国に移籍する場合、運転手、トレーナー、シェフ、フィールド外の通訳・サポートメンバーなど、さまざまなタスクを担当する複数のスタッフを連れてきますが、翔平が連れてきたのは私だけだったので、当然、上記のタスクのほとんどで彼をサポートする必要がありました。私は彼が行かなければならない場所すべてに車で連れて行き、頻繁に食料品の買い出しに行き、必要なときにいつでも雑用をこなしたので、24時間365日待機しているような気分でした。これに加えて、毎日彼の米国エージェントと連絡を取り、週に数回は彼の母親(日本側で翔平のマネジメントを担当)とも連絡を取りました。野球のスケジュールが忙しく、時差があるため、深夜を過ぎても電話に出られず、眠れないこともよくありました。オフシーズンは、肉体的にも精神的にもずっと大変でした。翔平は週に5~6回練習し、私は施設の予約、練習器具の設置と片付け、翔平の練習のすべてを撮影して記録し、彼の練習パートナーになること(オフシーズンの練習中は翔平と私だけだったので)、翔平を車で送り迎えすること、そしてこれらすべてをエンゼルスと米国にいる翔平の投手、打撃、リハビリ担当者に伝えることが私の仕事でした。また、食料品の買い物、郵便受けのチェック、自転車の修理、岩手県に実家に帰る際の付き添い、犬を獣医に連れて行く、トリマーに連れて行く、車で待っている間に同僚との夕食の送り迎え、婚前契約のための日本と米国の弁護士の調整、会議への出席など、日々の用事をこなしていました。これらに加えて、トレーニングの合間に週に1回行われるCMの制作日を設定するために、すべてのスポンサー企業やブローカー会社と連絡を取る責任もありました。私はすべての制作撮影に同行していたため、本当の意味での休みはほとんどありませんでした。唯一の長い連続した休みは、年末の4日間くらいで、妻と過ごす時間はほとんどありませんでした。シーズン中に比べて、オフシーズンははるかに忙しくストレスが多いと感じることがよくありました。これらの仕事すべてに対して、翔平は平均で100ドルを支払ってくれました」と自身の業務内容を説明した。