広島・床田寛樹投手(29)が25日、新球のスイーパー習得に意欲を示した。マツダスタジアムに隣接する屋内練習場で選手会の合同自主トレに参加。キャッチボールで試投し、感触を確かめた。開幕投手に初名乗りを上げ、キャリアハイを目指す9年目。直球に磨きをかけ、「真横にブイーッて曲がる」変化球を手の内に入れれば、鬼に金棒だ。
床田がひらめきを得たのは自宅の寝床だった。就寝前に、ボールの握り方をあれこれ考え「これ、ええんちゃう?」と思いついた新球。一夜明けると忘れていたが、合同自主トレに参加した際に思い出し、習得に向けた練習をスタートさせた。
「ボールをイメージして、縫い目をこうやって握ったらどうなんのかな、投げてみようかな…みたいな感じ。遊びがてら、いい発見ができたら…と」
ひと差し指と中指をボールの縫い目の外側に掛ける「ツーシームの握り」から、球速を抑えるために親指をひと差し指に添える形でずらし、腕を縦に振るイメージで投げる。すると「真横に結構ブイーッて曲がった」という。
「状態によって投げ分けられたら。このスライダーはダメとなったら、別の握りで。打者に(軌道の)イメージが違うと思わせられればいいな…と」
従来のスライダーが球速125キロ前後で斜めに曲がるのに対し、新球は「それより遅め(120キロ前後)で横に曲がる」のが特徴。変化の大きさを考えればスイーパーと言ってよく、マウンドの傾斜で制球できるか否かを確認し、試合使用の可否を決める意向だ。
「去年9月がダメだったので、勝負どころでもうひと踏ん張りできるように。(チームが)苦しい時に(自分の投球で流れを)止められるように」
開幕投手に初名乗りを上げ、キャリアハイを目標に掲げる今季。昨季143キロだった直球の平均球速を「2キロぐらい上げたい」として、自主トレでは意識して筋力トレーニングに励む。直球が走れば変化球も生きる。
「イニングは投げられるだけ投げ、勝てるだけ勝ちたい。一番は負けを減らしたい。勝ち星は自分でコントロールできないので」
ツーシーム、カットボールが主体だった昨季の配球。カーブ、スライダーの割合が増え、さらにスイーパーが加われば、左腕の掲げる目標は達成に近づく。(江尾 卓也)