大相撲初場所は26日、東京・両国国技館で千秋楽を迎え、大関・豊昇龍(25=立浪部屋)が平幕・金峰山(27=木瀬部屋)、王鵬(24=大嶽部屋)との優勝決定巴戦を制して一昨年の名古屋場所以来9場所ぶり2度目、大関昇進後は初の優勝を飾った。審判部は八角理事長(元横綱・北勝海)に臨時理事会の招集を要請、横綱昇進が確実となった。
単独トップの金峰山が本割で王鵬に敗れ、賜杯の行方は優勝決定戦へもつれこむことが決定。11勝3敗で千秋楽を迎えた豊昇龍は結びで琴桜に勝つことが決定戦進出の条件だったが、大関対決で勢いの差を見せつけて寄り切りで勝利した。
決定戦ではまず金峰山に休まず攻め込んで万全の寄り切り。続いて登場した王鵬相手には突き、押しに耐えると土俵中央でつかまえ、力強い寄り倒しで勝利。顔をゆがめて“よしっ!”とばかりに大きくうなずき、優勝の喜びを表現した。
昨年九州場所は琴桜との千秋楽相星決戦に敗れてあと一歩で優勝を逃した。ダブル綱取りに挑んだ今場所、9日目までに平幕相手に3敗を喫し、場所後の横綱昇進は絶望的かと思われた。それでも師匠・立浪親方からの「楽しくやれ」の言葉に背中を押されて白星を積み重ね、千秋楽で逆転。一人横綱として引っ張ってきた照ノ富士が5日目に引退し、平幕力士の活躍が目立った混戦の場所を大関の意地で締めくくった。
八角理事長は審判部から昇進を諮る臨時理事会開催を要請されて受諾し、27日の横綱審議委員会に昇進を諮問することも明言。一時は春場所は、北勝海が1992年夏場所前に引退し、曙が93年春場所で新横綱に昇進するまで番付上4場所空位だった時以来横綱不在となる可能性が高まっていたが、32年ぶりの横綱空位を免れることになった。