8冠へ“視界良好”だ。阪神・才木が26日、特注の眼鏡を着用して視点を矯正し、フォーム修正につなげていることを明かした。
「(ズレがあったのは)見え方。自覚はなかったけど、自分は右目を中心に見ていた。投げる時も右目中心だから、ちょっとこっち(右)に寄る。体が右に流れるんですよ」
1月中旬からの鳴尾浜での自主トレで、見慣れない眼鏡をかけて汗を流す姿があった。それが実は完全無欠のフォームを会得するための秘密兵器だった。昨季13勝を挙げた右腕に、思わぬ“伸びしろ”が見つかっていた。
昨年12月、自主トレのサポートを受けるトレーナーの指摘で、頭の位置がわずかに右に傾いていることが判明した。原因は目にあった。専門の施設に出向き、横から移動してくる物体を中心だと思うところで止める検査を受けると、視点の中心が右側にズレていた。
「それが真ん中だと思っていた」
日常生活には全く支障はないものの、投球動作においては小さな力のロスが発生。捕手方向に真っすぐ投げ出しているつもりでも、右目が中心の見え方になっているため体が右に流れることが多くなり、全身にため込んだ力が逃げてしまう。「力の方向的に前に乗れない感じ。こっち(前に)に乗りたいのに(右側に)逃げている」
その改善策として提案されたのが矯正の眼鏡だった。レンズに度は入っていないが、視点が左目中心になるようにつくられている。右寄りだったものが矯正される仕組みで「結局、脳ですね。見て、捉えて、脳が指令を出す。脳をだますじゃないけど、見え方を変えて体に反応させる」と説明した。
アップ中に眼鏡を着用し「あんまり着用しすぎると体がずれる。1時間ぐらい」とキャッチボール前には外す。矯正が成功すれば力のロスがない投球フォーム習得へ前進。目標に掲げる8冠が、はっきりと見えてくる。(遠藤 礼)
▽才木の「8冠」宣言 昨年12月8日、甲子園球場で行われた藤井聡太7冠と羽生善治九段による同球場100周年記念対局のトークショーに出演。趣味が将棋の才木は来季、先の流れを読む“将棋脳”を駆使することを宣言。昨年10月に棋界の全8冠を独占した藤井王将=現7冠=にあやかり、投手の主要4タイトルの最多勝、最多奪三振、最優秀防御率、勝率第1位に加えてMVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を含む「8冠」獲りへ意欲を口にした。