◇大相撲初場所千秋楽(2025年1月26日 両国国技館)
豊昇龍が見事に大関の責任を果たした。巴戦は2番とも立ち合いの踏み込みが鋭く、実力の違いを見せつけるような会心の相撲内容だった。金峰山戦はすぐに右を差して、投げを打って横に揺さぶりながら寄って出た。王鵬戦も右を差して左上手を引くまでの動きが素早く、相手に反撃の隙を与えなかった。
経験の差も大きかった。平幕の2人は初めての優勝争いで緊張した様子だったが、大関は逆に集中力が増しているようだった。本割から巴戦までそれほど間が空かなかったことも、勢いが増して良かったのではないか。
先場所から前に出る圧力に磨きがかかり、相撲が安定してきた。ただ、5日目に敗れた熱海富士のような相性の悪さを感じさせる力士がいるのは、今後に向けて気になるところ。右からの投げだけではなく、左上手も使えるようになれば、相撲の幅も広がる。昇進してもそれに満足せず、精進してほしい。 (元大関・栃東)