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T‐岡田氏が分析 虎の新助っ人・ヘルナンデスはシーツの再来 「柔らかい打撃」広角打法の中距離型

スポニチアネックス 2025年1月28日 5時17分

 スポニチ本紙評論家のT―岡田氏(36=オリックス球団アンバサダー)が27日、阪神が今季の新外国人野手として獲得したラモン・ヘルナンデス内野手(28)をスポーツ紙最速で徹底的に分析した。2005年の優勝に貢献したアンディ・シーツ氏(53)の再来が期待され、猛虎打線の起爆剤となり得る右打者を、10年のパ・リーグ本塁打王が独自の視点でチェックした。

 映像を見る限り、“柔らかい打撃”をするというのが第一印象だ。外国人選手ということもあり、引っ張り傾向が強いだろうと思っていた。しかし、右中間方向にも長打が打てる。タイプとしては中距離打者だ。打撃フォームは、テイクバックも大きくなく、コンパクトなスイングで癖もない。柔軟性もある。左足を上げて打っているが、上半身と下半身はしっかり連動している。今回は(安打を)打っている映像しか見ていないが、総合的に悪い印象は受けなかった。

 日本で成功するためには必ず選球眼が必要だ。今後は春季キャンプ、オープン戦で数多くの投手のボールを見ることが大切。新入団選手にとっては特に大事な作業となる。あとは、技術と同様に大切なことが頭脳。配球や球筋を覚えることも成功への近道となる。

 いいお手本としては、阪神にも在籍していたシーツが挙げられる。右方向にも打てて、自分のポイントにボールが来ればホームランも打てた。ヘルナンデスは左足を上げて打つタイプのため、レベルの高い日本の投手のクイックなどにも、どれだけ対応できるか。日本の野球、投手に慣れるためには少し時間はかかるだろうが、タイプ的にはシーツのような打者になれる可能性を秘めていると感じる。

 正直、メキシカンリーグ(※1)のレベルは分からない。ただ、同リーグでも球速150キロ程度を計測する投手は数多くいるだろう。その球速の中で結果を残しているということは、速球は苦にしていなかったことが考えられる。映像ではあまり速球を打ち返している場面はなく、逆に変化球を捉えている場面が多く見られた。変化球に関しては、いい対応をしていた。

 過去、NPB(日本野球機構)に在籍した外国人選手の中では一時、オリックスに在籍したメネセス(※2)に似ている印象を受けた。日本では出場機会も少なく、あまり成績は残せなかったが、コンタクトすることは上手だった。スイングも似ている。

 外国人選手だけでなく、どの打者にも共通することだが、いかにボール球を振らないかが重要だ。近年、日本の投手は球数を減らす目的でスプリット系のボールを使う。空振りを取るというよりも、縦の変化球で打たせて取る傾向にあるだけに、速い変化球、ボールの小さい変化に対してどれだけ対応できるか否かも、ポイントになるだろう。

 腕が長い分、外角は手が届く範囲だ。逆にその分、内角球への対応が気になる。シーズンが始まれば確実に内角を攻められるだろう。そこを絶対に我慢して見送ることができるか。逆に振りにいってしまうのか。ここがカギになるとみている。

 ドミニカ共和国出身の選手は明るい性格が多い。昨季まで阪神に在籍したミエセスのように、明るい選手がいてくれることはチームにとっても大きなプラス。ムードメーカー的な役割も含めた効果も期待できる。今春キャンプで、じっくり動きを見たいと思う。(本紙評論家)

 (※1)1925年創設のプロリーグで、国内各都市を本拠地にした20チームが北地区、南地区に分かれて4~9月にレギュラーシーズンを行う。大リーグの3Aクラスの実力といわれ、多くの選手が大リーグ移籍を目指すなどレベルは高い。日本選手ではマック鈴木、久保康友、荒波翔、田沢純一、高木勇人、乙坂智らが過去にプレーした。冬場にはウインターリーグも開催され、NPBから参加する選手も多い。

 (※2)18年に3Aで23本塁打、82打点の2冠に輝いたメキシコ出身の一塁手兼外野手。19年にオリックスへ入団したが、6月27日にドーピング規定に違反したとしてNPBから1年間の出場停止処分を科され、オリックスは同日付で契約解除した。1軍29試合で打率.206、4本塁打、14打点。

 ◇ラモン・ヘルナンデス 1996年3月2日生まれ、ドミニカ共和国出身の28歳。2014年からダイヤモンドバックス傘下のマイナーでプレーし、最高位は19年の2A。マイナー通算480試合で打率・266、53本塁打、270打点。21年からメキシカンリーグを中心にプレー。昨季はアセレロス・デ・モンクローバで82試合に出場し、打率・313、22本塁打、71打点。1メートル93、102キロ。右投げ右打ち。

 ◇アンディ・シーツ 広島在籍の2年間で160打点を挙げた勝負強さを買われ、05年に阪神へ移籍した右打ちの内野手。主に3番で起用され打率・289、19本塁打、85打点の打撃だけでなく、ゴールデングラブ賞を獲得した一塁守備でも活躍。2年ぶりのリーグVに貢献した。06年はリーグ2位の180安打をマーク。NPB在籍5年で通算682試合、打率・289、95本塁打、374打点。07年限りで引退後は、阪神の駐米スカウトとしてマートンを獲得している。

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