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「大谷は復帰へのプロセスに完全に信じている」と執刀医 今年注目の的となる2度目の手術からの復帰

スポニチアネックス 2025年1月28日 13時19分

 ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)は27日(日本時間28日)、スポーツ外科手術界の権威、ニール・エラトロッシュ医師のインタビューを掲載した。

 エラトロッシュ医師はドジャースのチームドクターで、大谷翔平の2度の肘の手術を担当している。2024年にそれぞれリーグMVPに輝いたヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手と大谷、同じくそれぞれサイ・ヤング賞を受賞したブレーブスのクリス・セール投手とタイガースのタリク・スクバル投手は、全員エラトロッシュ医師の手術を受けた経験がある。「4人すべてが大きな手術を受けた。手術から回復するために精神的・肉体的な負担を感じながらほぼ1年はかかる。それでも、彼らがここまで回復して活躍できるのは本当に素晴らしい」と喜びを語った。

 かつて、肘内側側副靭帯再建術(通称トミー・ジョン手術)や肩の大きな手術は選手のキャリアを脅かすものとされていた。しかしスポーツ医学やリハビリ技術の進歩に支えられて、多くの選手が復帰に成功、以前よりも良いパフォーマンスを見せる選手も少なくない。「選手たちが復帰するのは当たり前になっている。今、もしトップクラスのアスリートが手術後回復できなかったら、むしろそれが大きなニュースになる」と説明する。

 ジャッジは、17年の新人王のシーズンの後に肩の手術を受け、遊離体の除去や軟骨のクリーニングが行われた。セールはトミー・ジョン手術のために20年シーズン全休を余儀なくされ、スクバルは22年シーズンの終わりに左腕の腱の手術を受けた。大谷は23年9月に右肘の靭帯を再び治療した。4人とも大手術を経験したが、24年、MLBをリードし、最高のパフォーマンスを披露した。医学の進歩のおかげである。と同時に、球界ではケガの頻度も増している。

 競技レベルが上がり、身体を酷使することで若いうちから身体を痛めてしまう。投手のケガの傾向に変化が見られたのは約10年前だという。ピッチデザインで、球速や回転率を上げることが注目され、重いボールを使った練習や、より体に負担がかかる投げ方が広まった。投手たちは全体的により優れた球を投げるようになった一方で、ケガのリスクが増した。靭帯が痛み、骨が変形する。

 そこでエラトロッシュのような外科医は、手術の方法を変えている。伝統的なトミー・ジョン手術ではもたなくなってきているため、「インターナル・ブレース」技術を取り入れている。修復された肘の靭帯を、丈夫な糸やテープでできたブレースで補強、靭帯への負荷を分担させる。加えて、多くの若い投手が既にダメージを抱えてプロに入ってくるため、組織が完全に損傷する前に修復することに重点を置き、早期に診断を行う。早期に診ることで、回復時間も短縮され、リハビリプログラムがより効果的になり、大きなケガから回復した選手たちの成功事例が増えている。

 果たして大谷の2度目の手術からの復帰はどうなるか。「再手術からの復帰は、歴史的にはあまり良い実績を持っていません。しかしながらその実績も大きく改善されてはいる。そして大谷はリハビリに真剣に取り組み、復帰へのプロセスを完全に信じている」と話した。医学の進歩と選手の努力で、壁を乗り越える。

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