がんで闘病中だった経済アナリストの森永卓郎さんが28日午後1時33分、原発不明がんのため自宅で死去したと、マネジメント事務所がこの日、発表した。67歳。東京都出身。葬儀は近親者のみの家族葬で執り行う。
森永さんは一昨年12月、ステージ4の膵臓(すいぞう)がんと診断された。その後も体調の乱高下を繰り返しながら、番組出演を継続。今月27日には痛みを押して文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」にリモート出演した。「阿佐ヶ谷姉妹」とともに、大好きな歌を歌ったが、これが生前最後の番組出演となった。
病魔と闘いながら、執筆活動を続けた。がん発覚後、手掛けた著書は10冊を超えた。株主優待券を使って沖縄へ旅行し、執筆するなど、最後まで命の火を燃やした。
「読むのと書くのをほぼ同じスピードでできる」という速筆ぶりで、主戦場の経済、財務ジャンルはもちろん、晩年は寓話執筆にも熱意を傾けた。
昨年10月に出演したニッポン放送「うどうのらじお」では、「今、寓話というのを書いているんです。イソップとかの。日本で寓話作家って1人もいないんです。世界でもほとんどいなくて、イソップが人生の中で700話くらい書いているんです」と明かしていた。また、目標とするイソップに対しては、「全部読んだわけではないですけど、20か30読んだんだけど、有名なやつの20、30を除くと、ほぼ駄作です」と豪語。「56話できたので、実質的にはイソップを抜いたんですけど」と、歴史的大作家を超えたと喜んで打ち明けていた。
27日に出演した「―ゴールデンラジオ!」でも、23日に発売したばかりの絵本「絵本でわかる経済のおはなし バブルが村にやってきた!」をPR。これが、経済の知識と新たな挑戦を絡めた、人生最期のチャレンジになった。