経済アナリストの森永卓郎(もりなが・たくろう)さんが28日午後1時33分、原発不明がんのため埼玉県所沢市の自宅で死去した。67歳。東京都出身。葬儀は近親者のみで執り行う。
森永さんは2023年12月に「膵臓(すいぞう)がん」のステージ4と診断を受けたことを公表。その後詳細な検査で「原発不明がん」とされた。がん闘病中もメディア出演、執筆など精力的に活動。自身の病状や体調、医療費などについても詳細に明かしていた。
森永さんの命を奪った原発不明がんは転移した腫瘍だけが見つかり、がんが最初に発生した臓器(原発部位)が判明しない場合に診断される。
国立がん研究センターによると、すべてのがんのうち、約1~5%とされ、5年生存率は10%未満と低い。同センターの研究では原発部位として多いのは膵臓(すいぞう)、胆道、肺とされている。
症状はリンパ節の腫れや胸水による息苦しさ、肺腫瘍によるせきや声のかすれなどがある。がんは発生した臓器によって治療法が異なるため、原発部位がある程度予想できなければ治療ができない。予想できた場合でも、すでに転移しているため手術での切除や放射線治療での根治が可能な時期を過ぎており、進行を遅らせる薬物療法しか選択肢がないケースもある。
森永さんの最後のメディア出演は今月27日。ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」(月~木曜前8・00)にリモート出演し、容体が悪化したことを告白。「がんを宣告されて以降、最悪の状態なんですよ。どうやら本格転移が始まっちゃったんじゃないかなという感じ」と話し、冒頭のみの出演にとどめていた。同じく27日にリモート出演した文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜後1・00)では「実は1週間前から体調が急激に悪くなってですね。今ほとんど動けない」「この1週間ほとんど何も食ってないんですよ」と明かしていた。28日も「垣花正 あなたとハッピー!」に出演予定だったが、欠席していた。
1980年に東大卒業後、日本専売公社(現JT)に入社。経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て、経済アナリストとしてテレビ、ラジオなどのコメンテーターを務め、経済を身近なものにしていた。