がんで闘病中だった経済アナリストの森永卓郎(もりなが・たくろう)さんが28日、原発不明がんのため午後1時33分に自宅で死去したことが分かった。67歳。東京都出身。
「モリタク」の愛称で多くの人に愛され、がんの診断と余命宣告を公表した後も闘病しながら自身の考えや言葉を発信しつづけてきた森永さんが、67歳の若さで旅立った。
毎日新聞元記者で、独協大学外国語学部の講師だった父・京一さんの異動などに伴い、小学生時代は米ボストン、オーストリア・ウィーン、スイスのジュネーブなど海外で過ごした森永さん。
東京大学経済学部を卒業後の1980年4月に日本専売公社に入社。経済企画庁への出向を経て、91年に株式会社三和総合研究所に移籍。90年代後半から放送メディアへの出演が増え、「経済アナリスト」という名称は番組ディレクターが卓郎さんのために用意した肩書だ。オフィス・トゥー・ワンに所属したのは、この頃だ。
02年、三和総研が合併してUFJ総合研究所になり、その後も三菱UFJリサーチ&コンサルティングに名称変更。メディア出演の度に稟議書提出を求められるのが面倒になり、07年に退社。この間の04年から父の京一さんが講師をしていた独協大学の特任教授、06年4月には経済学部教授に就任。大学教授の肩書きでタレント活動を展開した。
ヘビースモーカーで、2010年のタバコ税増税の際には、値上げ前に110カートンを買いだめし、一箱1000円になったとしても「一生分を買い込んで冷凍保存する」と言い放ち、話題となった。
ミニカーや食玩、アニメ美少女のフィギュア、消費者金融のポケットティッシュ、貯金箱、携帯電話ストラップなど収集癖があり、自らを「オタク」と認めていた。また番組で共演した有吉弘行から「ケチだぬき」とあだ名をつけられるほどの倹約家としても知られた。さらには有名な横浜ベイスターズファンとして知られ、テレビ神奈川の年越し特番「ベイスターズナイト」の常連出演者でもあった。
著書も多数。早くから「年収300万円時代」を予測。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」について「恩恵を受けるのは、(輸出製造業の)大企業と株価の上昇で潤う資産家だけとなる公算が高い。直ちに労働者の賃金が上がる環境にはない」と指摘していた。