オリオールズのGM付き特別アドバイザー兼コミュニティアンバサダーに就任した球団OBのアダム・ジョーンズ氏(39)が28日(日本時間29日)、リモート会見に登場。その場で、2017年のWBCやNPBのオリックス在籍時に対戦経験があり、今季からオリオールズに所属する菅野智之投手(35)についても言及した。
オリオールズに08年から18年まで在籍したジョーンズ氏は、MLB通算1939安打。12年連続で規定打席に到達し、7年連続で25本塁打以上を放つなど活躍した。20年から2年間は日本のオリックスでプレー。NPBでも114安打を放ち、日米通算2000安打を達成し、20年限りで現役引退している。
ジョーンズ氏との一問一答は以下の通り。
――菅野についてどう思うか
「菅野は言うまでもなく、すごい競争心を持っている。彼は少し年齢を重ねていて、私が彼と対戦してから何年か経つが、彼は競争心を持っている。どんな球種でも投げられ、幸運にも田中(将大)と近いおかげでアメリカ式の投球をわかっている。アメリカのスタイルを理解しているんだ。ここ数年、日本野球のプレースタイルは少し変わってきており、ヤクルト・スワローズの三塁手である村上のように40、50本の本塁打を打つ選手が出てきた。私が日本にいたとき、もう毎日プレーするわけではなかったが、全員をよく見て、彼らのプレーぶりをよく見ることができた。山本、ボストン(・レッドソックス)の吉田とはチームメイトだった。だから、誰がアメリカでプレーしたいのか、誰がそうなりたいのか、誰がそうではないのかを知ることができた。菅野はアメリカに行きたがっていた。(2020年は)契約がうまくいかず、おそらく高給を受け取って日本に戻ったのだろう。でも、彼には(アメリカで)投げるだけの素質があることはわかっている。(重要なのは)健康の問題、それがスポーツでは常に一番大事なことだ。あとは私たち全員が知っているように、ボールを低く投げること。アメリカの打者はみんな大飛球を飛ばそうとする。山本にも「日本とアメリカの違いは、日本では打線の2、3人が本塁打を打とうとするが、アメリカでは9人全員がそれを狙ってくる」と伝えたことがある。投手が誰であろうと関係ない。先頭打者でも25~30本の本塁打を打つ。だからボールを低く抑え、守備に任せればシーズンで成功を収められる」
――34歳で日本にいったあなたから、35歳で渡米する菅野にアドバイスがあるか
「彼にはアメリカでのプレーにどのように準備すべきかを伝えてくれる適切な人材がたくさんいると思う。アメリカで長くプレーした田中もいる。ご存知のとおり、ローテーションは中6日ではなく中5日だ。ただ、最近ではチームは特定の状況に合わせて異なるローテーションを組むから、変わる可能性もあるが。アメリカのスケジュールは少し異なる。これまで何人かに伝えてきた中で最も重要なのは、時間について心配しなければならないということ。日本はカリフォルニア州の大きさだから、どこにでも飛行機で行く。ただ、大阪から北海道まで飛んでも2時間くらいだが、(アメリカではボルチモアから)カリフォルニアまで6時間のフライトに耐えなければならず、3時間の時差もある。そしてその夜にも投げなければいけない。もちろん 1日早く移動するといった便宜は計ってもらえるが、時差は身体が適応しなければならない。日本では11時に出れば12時30分には付き、時間は変わらないから」
――2017年WBCでの対戦で印象に残ったことは
「最初の打席(実際には2打席目)で彼に三振を取られたのを覚えている。第2打席(実際は第3打席)では安打を打った。いい当たりだったのでみんなはそのシーンは見せたがらないが、私は彼に対して良い打席をしていたよ。ただ、彼はもちろん私たちの強力打線を相手に非常に良いピッチングをした。いい試合で、私たちは2対1で勝った。すごい試合だった。メジャーリーグのオールスター打線を相手に彼はうまく切り抜けていた。(日本での)彼の成績は一貫してよく、年齢を重ねてもその通りだった。それが悪化するとは思わない。アメリカの野球は(日本とは)異なり、本塁打がよく出るが、だからボールを低めに投げ、打たせて取らなければいけない」
――菅野と話したことはあるのか。どういう性格か
「彼と直接話したことはない。握手しただけだ。ただ、(WBCの)準決勝で勝っていたから、(NPB入りした)2020年にはメディアを通じてかなりやりとりがあった。彼と千賀は私ともう一度、対戦したいと言っていた。だから私も対戦したかったし、実際に両方から打った。大事な場面では彼らは速球を投げてこなかったが。ただ、彼が来てくれるのをとにかく楽しみにしている。日本の選手の好きなところの一つは厳格なルーティンを持っていることで、多くの選手がそこから学べるだろう。日本の選手はルーティンを決して崩さない。彼の存在が(チームにとって)有益になると思う。英語に関しては、彼は私たちが思っている以上にわかっているんじゃないかと思う。英語でインタビューを受けることはないだろうし、それは理解できるが、彼はここ数年、アメリカ人と会っているし、私の友人とも会ってきた。だから間違いなく彼らと話していて、いくつかのフレーズを覚えたはずだ。彼の英語を聞くのが楽しみだし、私も日本語の勉強をするのが楽しみ。できるだけ頻繁に日本食レストランに通い、日本語の勉強をしようとしているよ」