◇フジ“やり直し”会見一夜明け
怒号も飛び交ったフジテレビのやり直し会見から一夜明けた28日、同社を傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)の株価は東京株式市場で前日比60円高(3・04%)の2035円と値を上げた。強烈な逆風の中、株価は異例ともいえる上昇を続けている。また、会見を生中継した「緊急特報フジテレビ経営陣会見」の平均世帯視聴率(速報値)は13・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2桁の高視聴率を記録した。
75社を超えるスポンサー企業が次々にフジテレビへのCM差し止めを決めるという危機的状況の中、フジ・メディアHDの株価は上昇基調を続けている。
今月16日に1616円だった株価は大きな批判にさらされた17日の1回目の記者会見を境に上昇に転じ、中居氏が芸能界引退を表明した23日に約8%と大きく値を下げた以外はほぼ連日、上昇を続けた。28日の終値は2035円。「経営問題が深刻化するのではないかという先行き不透明感がある」(証券アナリスト)という声も聞かれる中、世論の強烈な逆風に逆らうように、16日の1616円から約26%も値を上げてきた。
その背景にはこの機に、フジ・メディアHDの株主になろうという投資家らの強いムーブメントがある。
高値を付けているフジ・メディアHDの株だが、最低購入価格(100株)は約20万円で、6月に予定されている株主総会での議決権も獲得できる。1回目の記者会見が開かれた17日、実業家の堀江貴文氏(52)が「フジ・メディアHDの株を買ってみた」と自身のSNSで発信し、株主総会に乗り込んで経営陣の責任を追及しようと呼びかけた。
フジ・メディアHDにやり直し会見などを求めてきた米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」など大株主だけでなく、小口の個人投資家でも堀江氏らを旗頭に結束すれば、意にそぐわない経営陣を総退陣に追い込めるかもしれない。投資家の間にはこの“歴史的株主総会”へのチケットを入手しようという機運の醸成があると指摘する声もある。
経営危機もささやかれるフジテレビだが、フジ・メディアHDによると、同HDの2024年の営業利益は東京・大手町のサンケイビルをメインにした都市開発・観光事業が98億円なのに対してフジテレビを中心にしたメディア・コンテンツ事業は47億円。投資家の間にはフジテレビの経営が悪化してもすぐに同HDの屋台骨が揺らぐことはないという見方もあり、これまでのフジ株の割安感もあって買いが進んでいるという。