虎のベッツ爆誕!?高卒3年目の井坪が、先乗り合同自主トレ初日の打撃練習で快音を連発した。高卒3年目で初の宜野座キャンプ抜てきとなった若虎は、ドジャースのムーキー・ベッツを参考材料にしていると明かした。
「体の使い方はマネできない部分もあるんですけど、参考にできるものあったので、取り入れています」
ベッツといえば、昨季、大谷翔平の前後を担い、4年ぶりの世界一に貢献。その卓越したバットコントロールに加え、穴がない打撃が特徴で実働11年で通算1615安打、同271本塁打をマークする。そんな世界屈指の強打者を井坪が映像を見て参考にし始めたのは、昨季のシーズン途中からだ。左足の「踏み込みの強さ」、それによって生じる上半身と下半身の「割れ」の動作に一目ぼれ。1軍投手の「速球対策」として、投手方向へ踏み出す左足を軸足の右足よりも一足分インステップさせることで力負けしない打球をオフシーズンで身につけた。
加えて、相手投手がモーションに入ると一度、バットのグリップを上下に軽く動かすヒッチを交えてから打ちに行く動作も、酷似。公称1メートル75、82キロのベッツに対し、井坪も同1メートル77、88キロと体格面もほぼ同じサイズ。お手本とするには、格好の“教材”と言えた。
「(オフは)スイングスピードを上げて、それに伴って打球スピードも上がるようにして打ち損じが少なくなれば、と思ってやっていました」
その成果を、初日から“形”にした。打撃練習の1組目で登場すると、2球目の内角球を左翼芝生席へ“宜野座1号”。計40スイングで柵越え4本を放つなど広角に、力強い打球を飛ばし続けた。
昨年11月の秋季キャンプで、藤川監督から「今後、大事な存在になる。引き上げたい」などと絶賛された期待の超有望株。「3年目で活躍できるように頑張りたい」と語っていた阪神入団時の青写真を、現実にする。(石崎 祥平)
◇ムーキー・ベッツ 1992年10月7日生まれ、米テネシー州出身の32歳。11年のドラフト5巡目(全体172位)でレッドソックス入団。14年6月29日のヤンキース戦でメジャーデビュー。18年に打率.346で首位打者。32本塁打、30盗塁でトリプルスリー達成。ワールドシリーズ優勝に貢献してア・リーグMVPに選ばれた。20年からドジャースに移り、同年と24年の2度ワールドシリーズ優勝。メジャー通算1381試合で打率.294、271本塁打、831打点、188盗塁。シルバースラッガー賞7度、ゴールドグラブ賞6度受賞。1メートル75、82キロ。右投げ右打ち。
◇井坪 陽生(いつぼ・ひなせ)2005年(平17)3月17日生まれ、東京都八王子市出身の19歳。関東第一では甲子園出場なし。22年のドラフト3位で阪神入団。1軍出場はなく、今季は2軍105試合で打率.275、2本塁打、28打点、15盗塁。1メートル77、88キロ。右投げ右打ち。