プロ野球界ではよく同学年の選手たちを「○○世代」と表現する。代表的なのは1980年度生まれの「松坂世代」や、1988年度生まれの「ハンカチ世代」。昨季限りでソフトバンクの左腕・和田毅が現役を引退したことで、NPBでは「松坂世代」の現役選手はいなくなくなった。
「ハンカチ世代」はどうか。06年夏の甲子園で全国制覇を遂げた早実時代に「ハンカチ王子」のニックネームで社会現象にもなった前日本ハム・斎藤佑樹氏に由来する呼称だが、今年4月以降に37歳の誕生日を迎える世代だ。巨人・坂本勇人、DeNA・宮崎敏郎、広島・秋山翔吾、ソフトバンク・柳田悠岐ら各球団のスター選手がまだまだ現役で活躍中。メジャーではタイガース・前田健太もプレーしている。
忘れてはいけないのが、06年夏の甲子園でハンカチ王子と激闘を演じた田中将大(駒大苫小牧)。楽天から巨人に移籍したことで注目を集めているが、同学年のヤクルト・石山泰稚にとっても「マー君」はずっと特別な存在だった。
「同世代のスーパースターで憧れている。甲子園の佑ちゃんとの投げ合いも見ていましたし。面識ですか?ないです。近くで見たことはあるけど、話しかけられないです」
石山は金足農から東北福祉大に進んだが、田中将は高卒で同じ東北の地である楽天でプロ野球選手としてキャリアをスタートさせていた。これまで接点はなかったが、37歳にして初めて同一リーグで戦うことになり「良い刺激になります。近くで見られるのはうれしい。話しかけたいけど…、やっぱり難しいです」と笑った。
このオフには「88年会」の集まりに初めて参加した。「みんなと話しができて楽しかったし、行って良かった。みんな元気だなと感じたし、負けていられないなと思いましたね」と石山。昨季は通算500試合を達成したが、37試合の登板で1勝0敗5セーブ、防御率4・35。18年に35セーブをマークした右腕は、近年の成績に決して満足はしていない。「少しでも長く現役で頑張りたい」と決意をにじませ、チームより一足早く沖縄に入って、キャンプインに向けた準備を整えている。
同じ時代を駆け抜け、何歳になっても、自らを奮い立たせてくれる。同世代の存在は、やっぱり特別だ。(記者コラム・重光 晋太郎)