ラグビーリーグワンの神戸は30日、BR東京戦(2月1日・神戸ユニバー)の先発メンバーを発表した。この日33回目の誕生日を迎えた山下楽平(33=京産大)はFBで先発に名を連ねた。今季初の連勝へ、円熟味を増すベテランがチームを加速させる。
練習後にできた円陣。その輪の中心には山下楽平がいた。この日が誕生日とあって、周りの選手から促されて前に出ると、一発芸を披露し、なごやかなムードで練習を締めくくった。33歳になって初めて迎える一戦。山下は引き締まった表情で決意を示した。
「32歳よりも成長したいですね。チームとしては2勝3敗で負け越しているので、まずはイーブンに戻すこと。ここまでの5試合は負けた試合も含め、神戸の目指すアタッキングラグビー、エキサイティングなラグビーを見せることができた瞬間はあったと思うので、それを引き続き出しながら、時間も長くして圧倒できたらいいなと思います」
前節の勢いを持ち込みたい。本拠ノエスタで行われた1月19日の第5節は浦安を50―22の今季最多得点で下し、2勝目を挙げた。阪神大震災から30年がたって迎えた最初の試合だった。記憶を風化させないため、追悼行事「1・17のつどい」の様子を表した1試合限定の黒いジャージーを着用し、計7トライを積み上げる快勝だった。山下自身も期するものがあったという。
「チームとして追悼式にも行きましたし、チーム一丸で自分たちがやり抜くところをファンの方に見せることができたと思う。あの1試合で終わってはいけない。前節はより頑張れる理由があった。今節こそ、自分たちの真価が問われる」
2勝3敗の勝ち点12で6位につける神戸に対し、BR東京は1勝4敗の勝ち点5で11位。ここまで下位に低迷しているとはいえ、ニュージーランド代表SHのTJ・ペレナラらを筆頭に戦力が整う侮れない相手だ。「例年より仕上がっているし、FWも大きく、脅威となる選手がたくさんいる。簡単に勝てる相手ではないし、どんな相手でも変わらず自分たちの目指すラグビーを出し切る。その時間を長くすることに尽きる」と力を込めた。
チームには新しい仲間も加わった。28日にアーリーエントリーの選手が発表され、PR宮内慶大(関大)、LO本橋拓馬(帝京大)、SH上村樹輝(帝京大)、WTB植田和磨(近大)、FB辻野隼大(京産大)の5人が加わった。そのプレーと言動で新戦力を引っ張りたい。
本職はWTBだが、前節に続いてFBで先発する。「単純にボールタッチも増えますし、年齢も重ねて周りを生かすプレーも持ち味としたいし、昔より周りが見えるという自覚もある。外側にいいフィニッシャーが増えてきているし、そこにいいボールを供給できたら」。全力で今季初の連勝を目指す。
◇山下 楽平(やました・らくへい)1992年(平4)1月30日生まれ、京都府宇治市出身の33歳。枚方RSで競技を始め、啓光学園高(現常翔啓光学園高)、京産大を経て神戸製鋼(現リーグワン神戸)に加入。リーグワン初年度にトライ王に輝く。1メートル75、85キロ。WTB、FB。