元タレント・中居正広氏の女性トラブルを巡る一連の対応が批判され、経営の根幹が揺らぐフジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスは30日に定例の取締役会を開き、フジサンケイグループ代表で日枝久フジテレビ相談役(87)が出席した。
フジテレビの清水賢治新社長が終了後に報道陣に対応。日枝氏について「出席しているが発言は控える」と伝えた。辞任については「(出席した全員について)ここまでは今日は…。事案について調査し、再発防止を話し合った」とした。
フジテレビは27日に2度目となる記者会見を開催し、港浩一社長、嘉納修治会長の辞任を発表した。各メディアの質問に最後まで答え続け、のべ109人が質問し10時間23分にも及ぶ超ロング会見となったが、40年近く絶大な権力を握るとされる日枝氏は出席せず、批判を集めていた。日枝氏の説明責任を求める声が多く上がっていた。
日枝氏は1961年にフジテレビに入社し、報道や編成を経て80年にフジの編成局長に就任。42歳の若さでの抜てきだった。翌年「楽しくなければテレビじゃない」のスローガンを掲げ、82年に「視聴率3冠」を達成。黄金時代を築き上げた功労者となり、88年に社長に就任。政財界にも深い人脈を築き、大口スポンサーを多く獲得。40年近く権力を握ってきた。
相談役となっても「局長以上の人事は日枝さんの承認が必要で役員人事は全て日枝さんの意向」(同局関係者)とされ、現在の幹部は“日枝帝国”の中で昇進してきたといわれるほど。現在までグループ全体の人事に圧倒的な影響力を誇っている。
脱“日枝帝国”へ、透明性のある経営と信頼回復を目指すためフジ・メディアHDの社外取締役7人は、27日付で連名で「経営刷新小委員会」の設置を提言した。社外取締役の1人の斎藤清人文化放送社長は「これまでちょっと分かりにくい人事が行われてきたとしたら、変えるきっかけになる」と話し、新経営陣の候補者を面談などで選定する方法を議論したいと述べている。