ポスト甲斐の確立を急げ――。ソフトバンクの王貞治球団会長(84)が30日、今季のレギュラー捕手を早い段階で選定するよう提言した。長く正捕手を務めた甲斐が巨人へFA移籍し、その穴をどう埋めるかが今春キャンプでの最大のポイント。小久保裕紀監督(53)は王会長に呼応し、ブルペン視察を重視して見極めていく意向を示した。この日は福岡市の筥崎宮で必勝祈願を行い、リーグ連覇と日本一奪還を改めて誓った。
必勝祈願後に行われた境内での鏡抜き。王会長と小久保監督が一緒にバットで酒樽を割ると、勢い余って日本酒がスーツに激しく飛び散った。リーグ2連覇、日本一奪回を祈願して自然と力が入ったのかもしれない。王会長は「昨日より暖かかったよね」と天気に恵まれたことを喜びつつ、オフに大事なピースが欠けてしまったバッテリーの重要性について言及した。
「野球は、やはりピッチャーだから。特にうちは甲斐が抜けているからね。どういう投球になるか。今までは投手と甲斐だったが、誰というのが決まっていない。そこが大事なところ。監督は早くしっかりと意識を向けて見極めないとね」
高い守備力で日本を代表する捕手に成長した甲斐が巨人へFA移籍。新たな正捕手を早い段階で確立することが、2025年型ホークスの重要なポイントだとみている。今春キャンプでは海野、谷川原、渡辺、20歳の育成・盛島の若い4人がA組(1軍)で競争する。B組(2軍)には経験豊富な嶺井もスタンバイし「監督はそこ(捕手)に意識がいっていると思うよ」と語った。
オフには手薄となった投手陣を積極的に補強した。米球界から日本に復帰した上沢を獲得し、DeNAから浜口、上茶谷、巨人から伊藤が加わった。新戦力の能力を引き出すのも新正捕手の大事な役目だ。「今の世の中は一年でガラッと変わるから。戦い方もキャンプ、オープン戦をやりながら25年型を模索していかないとね」と開幕までのチーム力整備に期待を込めた。
小久保監督は約4900人のファンが詰めかけた必勝祈願で「今年のホークスにかける期待を最初に感じる場所なので、スイッチがオンになる。最後までハッピーで終わるという目標に向かってやるだけ」と意気込んだ。宮崎では足しげくブルペンに通うつもりで「誰が正捕手を獲るのか、争いを凄く楽しみにしている、逆に言うと不安な部分で背中合わせだが、誰が出てくるか注目したい」と話した。扇の要に誰がふさわしいか、キャンプ初日から目を光らせる。 (井上 満夫)