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東大に続き京大野球部も女性主務に、128年目で2人目「ハードルを低く」伝統校で女子部員の活躍広がる

スポニチアネックス 2025年1月31日 8時0分

 大学野球では女子部員も貴重な戦力として活躍の場を広げている。関西学生野球連盟に所属する京大は、25年度の主務を女子マネジャーの若林菜緒さん(3年)が務めることに決まった。同大学の女性主務は創部128年目で2人目。

 「関西学生は去年も今年も女性主務が2人いる。去年に女性主務が2人いたことで、自分が主務を務めるハードルを低く感じることができた。これから先、女性が主務をやろうと思ったときに“以前もやった人がいるなら大丈夫だな”と思ってもらう一因になれたらいいなと思います」。これまでは選手ではない主務も男子部員が務める例が多かった中、性別に関係なく部活動を支えられる環境が整ってきた。

 大学スポーツでは、事務や渉外担当などの責任者となる「主務」を置くことが一般的だ。京大の主務は、慣例としてマネジャーではなく男子の学生コーチの中から選出されてきた。しかし、現3年生は学生コーチが不在で、マネジャーも若林さんのみ。「主務をできる人が私しかいなかった」との兼ね合いもあり、同大学では2020年以来2人目の女性主務が誕生した。

 主務の仕事は多忙を極める。マネジャー業に加え、取材対応や対外試合の調整なども担当する。午前4時50分に起床してアルバイトをこなして授業や午後からの部活動に向かい、練習中は部室にこもって延々と事務作業を続ける。後輩のマネジャーは9人いる中、若林さんは3年生唯一のマネジャーとして奔走。「もう1人いればよかったな…と思うときもあります」と精一杯、選手を支えてきた。

 中学、高校は私立の女子校で軽音楽部に所属した。1年間の浪人生活を経て京大合格。現役合格で一足先に京大野球部のマネジャーを務めていた小学生時代からの同級生に、同部への入部を勧められた。「考えさせて」と伝えてから1カ月間熟考。「最後は勢いで決めました」と音楽サークルへの参加を諦めて野球部の門を叩いた。

 入部からの3年間、裏方としての存在意義を自問自答し続けてきた。「まだ考えている途中ですけど…」と前置きした上で、自分なりにたどり着いたマネジャー業のやりがいを明かした。

 「選手が試合で活躍することは部のプラスになる。だけど、私にはプラスに変えられるような仕事はないし、そこに自分の存在意義はない。でも、マネジャーは選手が当たり前に活動するための不可欠な存在にはなれると思う。マイナスをゼロにすることが自分の役割だと思っています」

 東京六大学の東大で史上初の女性主務が誕生したことは「SNSで知りました」とチェック済み。リーグ戦ではベンチ入りし、スコアブックを記入する大切な仕事も待っている。「自分が直接何かをできるわけではないけれど、リーグ戦に勝ち、いろんな場所で取り上げてもらい、興味を持ってもらうことで来年以降の部員が増え、部活が大きくなっていくことが理想です」。大学野球で選手として活躍できるのは一握り。それでも、一人でも多くの学生が野球を通して輝けるようになってきた。(記者コラム・河合 洋介)

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