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津田寛治 駆け出し時代に映画出演頼み込んだ北野武氏の“神対応”にスタジオ驚き「本当に凄い人だな」

スポニチアネックス 2025年1月31日 14時2分

 俳優の津田寛治(59)が31日、フジテレビ「ぽかぽか」(月~金曜前11・50)にゲストとして生出演。駆け出しの頃に出会った映画監督・北野武氏(78)との思い出話を披露した。

 18歳で地元の福井から上京。「アルバイトをいろいろやりながら、フリーでやっていた時期もあった。いろんな日本映画を観る中でこの監督好きだなっていう人に直談判をよくしていた。監督の事務所に行ってプロフィールを渡したりとか、ポストに入れたりもしていた」と振り返った。

 映画関係者と接点を持つために、録音スタジオの1階にある喫茶店でアルバイトを始めた。「そこの録音スタジオにはいろんな監督が来ていたので、ここでも渡さなきゃ損だよなと思った。(一緒に働いていたのが)経営者の奥さんで凄くいい人。“カンちゃん、どんどんプロフィール渡しなさい。決まったらバイトなんか休んだらいいんだから。ここでどんどん渡してあなたは売れなさい”って」と映画関係者への売り込みを後押ししてくれたという。

 その店に通っていた一人が北野氏だった。「この人コメディアンなのに凄い。渡そうと思ったんだけど、いろんな人が周りにいるんですよね。しかも気を抜くと喫茶店の隅っこで思い詰めたような青年がばーって滑り込み土下座をして“殿、弟子にしてください”って。スタッフがこっちでお話聞くので…と(その青年を連れていった)」と映画出演を希望する多くのライバルがいたという。そんな状況の喫茶店で北野氏を観察する中で「ウエイターまでもそんなことやったらもう来ないぞってなっちゃうので、どうしようと思って見ていたらトイレだけはお一人で入られるんですね」と気づきがあったという。

 そして北野氏がトイレに入ったタイミングを見計らって自身も突入。ここでしどろもどろになりながらも俳優を志望していることを告げ、手紙を渡した。「不審者ですよ。普通だったら“表にスタッフがいるからスタッフに渡して”となるかと思ったら、ずっと僕の話を“はい、はい”って聞いてくれているんですよ。上司の話を聞くような感じで」と真摯な態度で手紙を受け取ってくれたことを明かした。

 「もうこれだけでいいやと喜んでいた」が、その後1年は映画出演のオファーは届かなかった。1年ほど経ったある日、北野氏がその喫茶店を訪れると「兄ちゃん、元気?まだ目指してる?」と覚えてくれていたという。「これで1つつながったと思っていたら、後ろから人情あふれる奥さんがガッと(津田を)押しのけて“監督、ひどいじゃないですか。ウチの子、1年待っていたんですよ。聞いたら明日クランクインってどういうことですか。何でオーディションしてくれないんですか。私、見損ないました”って。で、俺の方を見て“カンちゃん、出なくていいから”って」と北野氏に強い口調で詰め寄ったという。

 これを見た津田は「終わった。階段を20~30段転げ落ちたような気分」と思い、北野氏は「ごめんね」と言い残してスタッフがいる席へ行った。しかし、北野氏から「兄ちゃん、出番だよ。ちょっとおいで」と呼ばれると、津田がウエイター役で出演する場面を映画に追加することを決めてくれたという。ひと言だけの役だったため「今回、すみませんだけでごめんな」とも言ってくれた。

 この北野氏の神対応に「俺がもし逆の立場だったら、店の奥さんに見損なっただのぼろくそに言われて何の義理もないのに、“ああ、わかりました”って普通だったらそれで終わりじゃないですか。なのにあの時の監督はこれは申し訳ないことをしたって思っていてくれたんですよ。どこの馬の骨か分からないヤツにプロフィール渡されて。本当に凄い人だなと思った」と感謝していた。このエピソードに共演者は驚きの声を上げていた。

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