米ワシントン近郊で29日に小型旅客機と陸軍ヘリコプターが衝突した事故で、フィギュアスケート関係者14人の命が失われたとAP通信が30日、報じた。旅客機の乗客60人と乗員4人、ヘリの3人の計67人は生存が絶望視されている。
名門ボストン・スケートクラブのダグ・ゼギベCEOは、全米フィギュア選手権に合わせてカンザス州ウィチタで開催された若手有望選手の強化合宿参加者14人が搭乗者に含まれると発表した。14人のうち同クラブに所属する13歳と16歳の選手2人、その母親、コーチを務めていたロシア出身で94年世界選手権(千葉)ペア金メダリストのワジム・ナウモフさん、エフゲニア・シシコワさん夫妻の計6人が含まれるという。ナウモフさんとシシコワさんの息子マキシムは全米選手権に出場したが、27日のうちに帰宅していた。
フィギュア関係では、フィラデルフィアとワシントンのスケート団体も所属の若手選手数人が同機に搭乗していたと明かした。ボストン・スケートクラブ出身で五輪2大会連続メダリストのナンシー・ケリガンさんは半旗が掲げられた同クラブのリンクに駆けつけ「私ができることは大切に思っている人、愛している人、必要としている人と一緒にいること。だからここにいるのです」と悲痛な面持ちで語った。
24年世界選手権覇者で、全米選手権3連覇を飾ったばかりのイリア・マリニン(米国)は自身のSNSに「この悲惨な事故で仲間のスケーターを失った悲劇に心を痛めています。フィギュアスケート界は家族のようなもので、この損失は言葉では言い表せません」と記した。エストニアのタリンで開催中の欧州選手権では黙とうが捧げられ、国際スケート連盟の金載烈会長は「この悲惨な事故で命を落とした全ての方々の家族と友人に、心から哀悼の意を表します。このような形で私たちのコミュニティーの多くのメンバーを失うことは、言葉にできないほどの悲しみです」と話した。