俳優の緒形直人(57)が31日、NHK「あさイチ」(月~金曜前8・15)にゲストとして生出演。父・緒形拳さん(08年死去、享年71)との思い出を語った。
「父は血のりつけたまま帰ってきたり、ドーランのまま汚して帰ってきて抱きしめてくるんですよ。怖いですよね…僕は慣れてるんだけど、一緒にいる友達が怖がっていて。友人の前でも関係ないんです」と苦笑しながら懐かしんだ。
番組では、直人の妹を抱っこする緒形さんと、当時2歳の直人との3ショットを初公開。「厳しくはなかったけど、とにかく(家に)いなかった。ほとんど京都で撮影多かったので。あまりいなかったですね。運動会とかは一度もなかったですね」と撮影に奔走していた父の姿を振り返った。
さらに、もう1枚貴重な写真を公開。緒形さんが直人を背負って坂道を上っている。「『楢山節考』という映画がありまして」と切り出した。
村の因習に従い、年老いた母を背板に乗せて真冬の山へ捨てにいくという物語。今村昌平氏が監督し、1983年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した名作として知られる。緒形さんは断腸の思いで母を捨てに行く主人公を演じた。「僕が中学生で休みで部屋にいたら。“お前今空いてるか?”って言われて。空いてるよって言ったんです。“体重何キロだ?”って聞かれて。答えたら、ちょっと来てくれと。背負子(しょいこ)におばあさんを背負って山道の登るというシーンがある。感覚をつかみたいから坂道で稽古させてくれって」と当時の会話を明かした。
当時中学生だった直人は「休みの日で、人が来ないかって。恥ずかしくて。こんなとこ見られたくないと…でもまあ頼まれたので」と苦笑しながら懐かしんだ。
息子を背負って「姥捨て」のシーンの稽古に励んでいたという秘話にMCの博多大吉は感激した様子。「これは凄い。よくこの写真が…どなたが撮ったかわかりませんが、よく残ってたなと。こういう稽古があったから楢山節考という名作が生まれて、世界的にヒットしたという」としみじみとした表情を浮かべた。