プロ野球は、きょう1日に宮崎、沖縄両県で12球団が一斉にキャンプインする。ソフトバンクの小久保裕紀監督(53)は31日に宮崎市内で行った全体ミーティングで3つの指針を示した。自ら筆で記した「愉(たの)しむ Play happy」、「出し切る Give it your all」、「追い求める Never settle」を提示。パ・リーグ連覇と5年ぶりの日本一を目指す今季、キャンプから意識付けするテーマを明確にした。
達筆な字で書かれた3つの指針。小久保監督が選手へ最初に見せたのは「愉しむ Play happy」だった。
「人間はうまくいってる時は振り返りが必要なくて。うまくいかない時期に試合であったり、練習であったり、愉しめましたかって。“楽”じゃなく、りっしんべんですね」
一過性のものにするのではなく、その日、立ち止まって考えることの大切さだ。「幸せだと感じ、物事に取り組むことによって、深さが増す。その戦いの場に出られてること自体が幸せなことじゃないですか?俺、そこで幸せやなって思って、そういう それが深い心の喜びや、満足感につながっていく」。キャンプから意識付けさせる狙いがある。
次に出したのは「出し切る Give it your all」だ。「今、自分が出すもの全てを出してるかどうか。きょう来たファンに対し、自分の全て出し切れたか。出し惜しみしてないか」。長いシーズンは選択肢の連続だ。道に迷うことだってある。「迷った時、自分ができることは決まっている。それは出し切れたかどうか」。出し切った日々の積み重ねが、選手の自信につながる。
最後は「追い求める Never settle」だった。「これはプロとして当たり前。心技体含めて、自分の究極を追い求める。自分が思うような成績が残らない時、いろんなところに理由を求めたいところだけど、プロならば割り切って技術の追求」。技術が足りないと割り切ることができれば、前進する力に変えられる。
この3つはいわば補足だ。「世界一を目指す集団であり続ける」という壮大なテーマは変わらない。この日、宮崎空港で行われた歓迎セレモニーでは「今年こそ最後の最後までハッピーエンドで終わるような1年にしたい。2025型ホークスの基礎をつくるため1カ月トレーニングを積みたい」と日本一奪回を誓った指揮官。「愉しむ」ことで、最後の壁を突き破る。 (福浦 健太郎)
≪昨年“小久保ルール”設定≫
○…小久保監督は就任1年目だった昨年のキャンプイン前日の全体ミーティングでも独自色を出した。全体練習で帽子、ユニホームを必ず着用することなど“小久保ルール”を設定。孫正義オーナーが掲げる「世界一」も改めて選手へ伝え「今後もし世界一決定戦ができたらそこに値するチームになっておくことが大事」と訴えた。
≪城島CBO“ファンを大事に”≫
H…城島CBOは全体ミーティングでナインに“ファンサービスのススメ”を説いた。「バッティングしたりトレーニングするのと同等にファンサービスを念頭に置いてやらなきゃいけないというのが王会長の教え。今、お客さんが入って応援してもらうのは当たり前じゃない」。コロナ禍でファンの声援がなくなった時期のことや、米球界が力を入れていることを挙げ「ファンサービスも目指せ世界一。そこの一点だけ言わせてもらいました」と話した。