宜野座キャンプに臨む阪神・森下は“オレ流”調整を貫く。藤川監督はすでに今季、4番で起用する方針。レギュラー争いをしていた昨年の同時期とは立場が異なることから、春先の実戦での数字は度外視し、自らがやるべきことに集中する。
「2月、3月はめちゃくちゃいい成績を残しても仕方がない」
テーマは明確だ。「インサイドアウトを継続してやる」。先乗り合同自主トレが行われた29日からの2日間も、屋外フリー打撃での計68スイングで柵越えは1本だけ。大山、佐藤輝、前川がアーチをかける中、バットを体の内側から出す意識付けで取り入れたバスターから打撃練習を開始する徹底ぶりだった。
1月中旬のソフトバンク・山川との合同自主トレで共感したスイング軌道。最初は投手方向へゴロを打ち、徐々に出力を上げ、センターへと打ち返していく。この地味なドリルこそ、目標に掲げる「3割、30本塁打、100打点」への第一歩。意識せずとも内側からバットを出せるようになれば、中堅方向に対してやや左へ打ち出した飛球は、右に曲がりながら落ちていく軌道を描くという。これこそが「理想の軌道」で、フォームが完成の域に達した証となる。
昨季は打率・275、16本塁打、打点はリーグ4位の73打点。11月には国際大会「プレミア12」で、4番として躍動した。それらの実績が認められ、ポジションが確約される今季。約1カ月間で段階を踏み、ゆとりを持って打撃の精度を高められる意義は大きい。
とはいえ、悠長に構えるつもりは一切ない。「勝負の年」と位置づける大卒3年目のシーズン。「(キャンプは)自分のやるべきことを淡々とやっていく。人のためにはやらない。自分のために」。オレ流を貫いたその先に、パワーアップを遂げた森下翔太が見られるに違いない。(石崎 祥平)