中日からFA移籍で日本ハムに入団した福谷浩司投手(34)は沖縄・名護キャンプの初日からブルペン入り。慶大の後輩で、中日時代にバッテリーを組んだ郡司裕也捕手(27)を相手に69球を投げ込んだ。初日から力強い投球を見せ、投球後は7歳下の後輩捕手にいじられた右腕。見守った新庄剛志監督(53)は2通りつくる勝ちパターンに入ってくることを期待した。
移籍1年目。新天地で初めて入るブルペンで待っていたのは懐かしい後輩だった。投げようと思っていた左端はベテラン左腕・宮西が投球中。投げる場所を探していたら、右から2番目で郡司が準備を整えていた。
「(捕手が)誰かっていうのは考えていなかったけど“うわ、これはネタにされるな”と思って投げた」
そんな予感は的中する。慶大の後輩で、中日時代には何度もバッテリーを組んできた仲だ。気心知れた捕手を相手に、話題を提供しつつ、投げるボールは力強かった。40球過ぎから郡司の後ろで新庄監督が視察。「生で見ていただくのは凄くうれしい」と切れのあるボールを69球。キャンプ初日には十分なパフォーマンスで、懐かしのバッテリー復活を郡司がフォローした。
まずはブルペン入り直後、福谷が受ける相手を探していた場面について。「ウロウロしていたから、どこを選ぶんだろうと思っていたら、やっぱり自分のところへ来た」。そして肝心の投球を受けた感想は「久しぶりに受けましたけど、懐かしい球筋。意外と特徴的で捕りづらいんですけど、捕りづらいということは打者も打ちづらい」と言うと、初日の感想をこう表現した。「気合が入りすぎていたので、年も年ですし、もうちょっと抑えめにやってもらって」。絶賛しつつ、いじりも忘れなかった。
中日時代の20年8月11日の広島戦。福谷が先発で1173日ぶりとなる勝利を挙げたときの捕手が、当時新人だった郡司だ。このときプロ初打点でバットでも援護してくれた。懐かしのバッテリーでキャンプ初ブルペンを終えた福谷は「監督から“良かったよ”と言ってもらえました」と満足そうに振り返った。
その新庄監督は、2通りの勝ちパターンをつくる考えで「2パターンだから(リリーフを)6人。そのポジションをみんなで勝ち取ってくださいと」と言った。ダブル勝ちパターンの一角へ。懐かしく、愉快なバッテリーで投じた69球は、ビッグボスへアピールするのに十分だった。(秋村 誠人)
〇…福谷は中日時代の20年に郡司と5試合バッテリーを組んでいる。初めて組んだ8月11日広島戦(マツダ)では先発し5回2/3を5安打1失点と好投。シーズン初勝利をマークしている。この試合で郡司は4打数2安打2打点と打撃でも福谷を援護。シーズントータルでは2人がバッテリーが組んだ試合は3勝1敗と勝ち越した。