曇天の宜野座に、阪神新加入のヘルナンデス(メキシカンリーグ)がド迫力の虹を架けた。キャンプ初日からランチ特打を敢行。打った瞬間それと分かる一撃は、6スイング目だった。
「しっかりバットの芯で捉えて、センター方向に(打つ)というのは意識していた」
1メートル93、102キロの大柄な体格から繰り出された強烈なスイングで、左翼後方に設置された「阪神タイガース 歓迎」の看板に打球をぶち当てた。推定130メートル弾で自らの加入を歓迎する、宜野座キャンプの“チーム1号”。計53スイングで2連発を含む7本を左翼芝生席へ叩き込みつつ、逆方向へも強烈な打球を放ち、広角へ打ち分ける器用さも披露した。
昨季はメキシカンリーグで82試合に出場した28歳。22本塁打に加え、卓越したバットコントロールで打率・313を残した実力の片りんを見せつけた。ケージ裏から見守っていた和田1、2軍打撃巡回コーディネーターも称賛の言葉を並べた。
「捉えたときの打球は今日は完全にアゲンスト(向かい風)だったけど風に関係なく放り込むパワーがある」
この日は、黒のストッキングを出す「オールドスタイル」で登場。その立ち姿はどことなくヤクルト・サンタナに似ている。同じドミニカ共和国の首都サントドミンゴ出身。日本での通算4年間で打率・299、69本塁打をマークしている右打者の再来となれば、猛虎にとってもこの上ない戦力となる。和田コーディネーターも「そうなってほしいね」と期待を寄せた。
「全体的に振り返ってもいい一日」とヘルナンデス。充実の表情を浮かべ、猛虎の“デビュー戦”を終えた。 (石崎 祥平)
◇ラモン・ヘルナンデス 1996年3月2日生まれ、ドミニカ共和国出身の28歳。2014年からダイヤモンドバックス傘下のマイナーでプレーし、最高位は19年の2A。マイナー通算480試合で打率.266、53本塁打、270打点。21年からメキシカンリーグを中心にプレー。1メートル93、102キロ。右投げ右打ち。