◇テニス男子国別対抗戦デビス杯ファイナル予選1回戦 日本―英国 日本3ー2英国(2025年2月1日 兵庫・ブルボンビーンズドーム)
1勝1敗で最終日を迎えた日本は、通算3勝2敗で英国を破り、9月に行われる予選2回戦進出を決めた。ダブルスの第3試合に敗れて追い込まれたものの、その後のシングルス2試合で世界ランキング67位の西岡良仁(29=ミキハウス)、同70位の錦織圭(35=ユニクロ)が連勝して逆転。新旧エースが躍動し、19年以来のファイナル進出に王手をかけた。
サーブの状態を立て直せないまま敗れた第2試合から一夜。見事に修正した錦織が、2回戦進出を懸けた大一番でストレート勝利を挙げた。試合直後は頭が回っていなかったのか、「よっしー(西岡)が試合をしている時は、苦しいほど苦しかったですけど」とおかしな日本語でファンを笑わせたのはご愛嬌(あいきょう)。「ひとまずホッとしている」と胸をなで下ろした。
通常のツアー大会では経験できない、敗戦翌日の試合。技術はもちろん、気持ちの立て直しも難しく、「(前日の試合は)この半年で一番悪いくらい。そこが一番難しかった」と振り返る。それでも自己洗脳して自信を回復させ、サーブも打点やフォームを微調整。第1サーブの成功率は前日の61%から69%に向上し、錦織らしいテニスを組み立てた。
この日は相乗効果でフォアのコントロールも抜群。第1セット第8ゲームのセットポイントでは、ベースラインぎりぎりに落とす正確なフォアでスタンドを沸かせた。第2セット第5ゲームでは、0―40から5連続ポイントでキープ。「(前日は)勝たないといけないという重荷を背負っていた。今日はリラックスしてプレーできた」と自分の実力を存分に引き出してみせた。
「おじさんは頑張っている」とチーム最年長、そして元世界4位の責任を果たし、再びツアーに戻る。次戦は3日開幕のダラス・オープン(米国)と強行軍だが、「自分への劣等感というか、マイナスが凄く大きかったので、払拭できたのは大きい」。日本で刻んだ1勝を自信に変え、再び完全復活への階段を上る。
≪「MVP」西岡圧倒2勝≫1勝2敗と追い込まれた第4試合で、西岡がエースの力を見せつけた。前日に錦織を破った世界77位のファーンリーにストレート勝ち。第2セットはタイブレークにもつれ込むも7連続ポイントで圧倒し、「ツアーで生き残ってきていることに自信を持って臨んだのが今日も良かった」と胸を張った。1人で計2勝を挙げ、錦織からも「MVPはよっしー」と称賛された。「日本をテニスの強豪国にしたい。会場のジュニアの子が見てくれれば、彼らの力になる」と話した。