プロボクシングの元WBA&IBF&WBO統一世界ヘビー級王者、ウラジーミル・クリチコ氏(48=ウクライナ)が現役復帰を真剣に検討し、25年度中に注目度の高い試合へ出場することをほぼ決意したと、米リング誌が1日に報じた。
3月25日に49歳となるクリチコ氏は、17年4月にアンソニー・ジョシュア(英国)に11回TKO負けして引退を表明。21年に国際ボクシング殿堂入りを果たした。22年2月にウクライナがロシアの侵攻を受けると予備役に入隊。キーウ市長でもある元世界ヘビー級王者の兄ビタリとともに徹底抗戦を国民に呼びかけ、英タイムズ紙は兄弟がロシア側の暗殺リストに載っていると伝えていた。
リング誌によると、サウジアラビア政府直轄のボクシング興行「リヤド・シーズン」の責任者であるトゥルキ・アルシェイク総合娯楽庁長官は昨年12月、クリチコ氏に現役復帰の意思を確認。前WBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)との再戦構想を明らかにしていた。クリチコ氏は15年11月、フューリーに0-3の判定で敗れ、保持していたWBA、IBF、WBOのベルトを一度に失ったが、フューリーの病気や王座返上などで再戦は実現していなかった。
1メートル98のクリチコ氏は1996年アトランタ五輪スーパーヘビー級金メダリストで、プロではWBA王座8度、IBF王座18度、WBO王座は5度と14度の防衛に成功するなど、64勝(53KO)5敗の成績を残した。ヘビー級では、ジョージ・フォアマン(米国)が94年に45歳9カ月で世界王者になった例がある。